サターン・ボウリングのレビュー・感想・評価
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父の衣を借る野蛮な狩り
暴力描写がえげつない。
殴打から死に至り、処理するまでをじっくり時間をかけ丁寧に描く。また掘り出された死体の捉え方がトラウマレベルである。ホラー映画のそれとは違う、リアリティのある怖さ。
ここまで写さなくてもいいのではと思ったのだが、パトリシア・マズィ監督のコメントを読むと、「暴力はどう生まれるのか」という問題から逃げないために、意図的に見せたとしている。
また、ヒムパシー(男性加害者に対する過剰な同情)への批判的視線もあるようだ。確かに加害者のアルマンは見た目も悪くなく、最初、女性にはむしろ優しく、紳士的であるように見えた。婚外子で苦労したはずだし同情の余地があるのかなと思えたが、あの暴力描写を見せられたら、シンパシーは欠片なく霧散しまった。監督の意図に見事にハマってしまったようだ。
死体を包んだ黒いビニールの塊を、ダストシュートから捨てるショット。一瞬画面が真っ暗になったあと、唐突に光の輪が見えてくる。「サイコ」を意識しているのかとも思ったが、見たことがないすごいショットだった!
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絶妙に観に行くかどうするか悩んでる作品の試写会招待のお知らせがきた時が一番興奮しますね。
特典はステッカーでした。
R18だったりボウリング場を舞台とした猟奇的殺人というところに惹かれたんですが、登場人物がクソ野郎ばっかり以外のところは正直予想の範疇を超えず、グロさもグロいっちゃグロいんですが、ここ最近アホみたいにグロいやつを観たせいか、少しパンチ不足にも思えました。
現実的なグロさという面では今作の方が勝ってはいるのですが。
ギョームとアルマンという兄弟2人をメインに展開していき、猟奇的殺人を繰り返す弟アルマンと警察官のギョームの関係性、父親から受け継いだボーリング場をきっかけに秘めていたあれやこれやが目覚めていくといったストーリーで、アルマンが性欲などの欲とは違う快楽で殺人を行なっている狂気っぷりはひしひしと伝わってきました。
全体的な行動が支離滅裂かつ身勝手なので良い具合にフラストレーションは溜まっていくのですが、それがドカンと爆発するところはあまり無かったのが惜しかったです。
殺人にトリックはほぼ存在せず、基本的には残虐に力任せに殺していくので、計画性よりかは自分の衝動で動いているなと感じました。
一方のギョームは警察官としての職務を全う…しているかと思ったら、ストーカー被害を受けているであろう市民の意見をスルーした結果、その市民が自殺してしまったり、女性活動家が寄ってきたかと思ったらイチャイチャし出して、職場でベロチューをかましていたりと、シンプルだらしない人間で引っ叩きたくなりました笑
途中のシーンで活動家が差し入れとしてコーヒーを持ってきたのですが、めっちゃちっちゃいカップで持ってきて、ギョームが飲んだかと思ったら自分も飲むという行動をしたので、そんな事をしたらいくら差し入れでもブチギレると思います笑
終盤にかけて動物狩りを行なっている人物がボーリング場でたむろしている事を怪訝に思っているアルマンがイラついていたり、ギョームが犯人に近づいていく描写がされていきますが、盛り上がりそう!と思ったら幕引き自体はあっさりいってしまったので、もっと深掘りして欲しかったなーと思いました。
ほぼライド感で映画を観ている人間なので、今作の描写が何らかのメタファーもしくはモチーフになっているかどうかはあんまし分からず、そこをもっと理解できれば良かったんですがその領域までは辿り着けず。
でも観れない事はないですし、メタファーにビビッと来る人にはジャストミートな作品なんじゃないかなと思いました。
ボウリング場での人殺しが観たい人は「デス・ボウリング」を観るべきだなと思いましたスットボケ。
鑑賞日 9/17
鑑賞時間 19:00〜20:54
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