「父の衣を借る野蛮な狩り」サターン・ボウリング sugar breadさんの映画レビュー(感想・評価)
父の衣を借る野蛮な狩り
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暴力描写がえげつない。
殴打から死に至り、処理するまでをじっくり時間をかけ丁寧に描く。また掘り出された死体の捉え方がトラウマレベルである。ホラー映画のそれとは違う、リアリティのある怖さ。
ここまで写さなくてもいいのではと思ったのだが、パトリシア・マズィ監督のコメントを読むと、「暴力はどう生まれるのか」という問題から逃げないために、意図的に見せたとしている。
また、ヒムパシー(男性加害者に対する過剰な同情)への批判的視線もあるようだ。確かに加害者のアルマンは見た目も悪くなく、最初、女性にはむしろ優しく、紳士的であるように見えた。婚外子で苦労したはずだし同情の余地があるのかなと思えたが、あの暴力描写を見せられたら、シンパシーは欠片なく霧散しまった。監督の意図に見事にハマってしまったようだ。
死体を包んだ黒いビニールの塊を、ダストシュートから捨てるショット。一瞬画面が真っ暗になったあと、唐突に光の輪が見えてくる。「サイコ」を意識しているのかとも思ったが、見たことがないすごいショットだった!
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