「主従関係を“絆”とする姉妹の哀しさ」九月と七月の姉妹 regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
主従関係を“絆”とする姉妹の哀しさ
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わずか10カ月違いで生まれた気の強い姉と内向的な妹。常に姉に従う立場の妹が、学校で虐めを受け続けたことをきっかけに…
ヨルゴス・ランティモス監督のパートナーの初監督作という宣伝で、もう一筋縄ではいかない内容ではと察していたが、蓋を開けたらやっぱりその通り。粗筋を説明するセリフの省略、観る者の心をざわつかせるような音響(『関心領域』のスタッフが手がけたと知り大いに納得)、そして何より絶対的な主従関係にある姉妹のミステリアスな存在に至るまで、なんとも言いようのない不穏な雰囲気に包まれている。あと、妹を虐める生徒の中心人物が車いすの女子というあたり、「障碍を持つ者も悪さはする」というファレリー兄弟作品を思い出させた。ただ、ストーリーの中盤あたりでオチが何となく分かってしまったのはちょっと残念。
とにかく、絶対的な上下関係を絆の証にしていた姉妹の姿が哀しさを誘う。彼女達がカースト制度のあるインドをルーツに持つのも、製作者側の意図した事なのだろうか。
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