「牙狼新シリーズ開幕にふさわしい作品」牙狼 GARO TAIGA 奈々氏さんの映画レビュー(感想・評価)
牙狼新シリーズ開幕にふさわしい作品
牙狼の最初の主人公である冴島鋼牙の父親である冴島大河を主人公にした物語。
2005年から2019年までの作品で、冴島大河を演じていた渡辺裕之さんが2022年に亡くなり、その追悼の意味もある作品ではあるが、作品自体は若き日の大河を新しい俳優が演じておりフレッシュな印象を受ける。
登場人物もメインが4人に絞られており、大河以外は新規のキャラクターであることから、本作を牙狼シリーズに入門にしても問題のない作品となっている。過去作を見ていないと絶対に分からないという要素も無いのでおススメだ。
牙狼にこれまで存在したR15~R18Gっぽい要素が極限に抑えられており、『蒼哭ノ魔竜』のような低年齢層にも見せることのできる作品に仕上がっているのも、制作側の入門編を目指した気合いと想いが伝わってくる。
アクション面では、事前に制作側から話のあった、撮るのが大変だったという言葉を感じさせないような、牙狼らしい魅力的なアクションが展開されており、これまでの牙狼映画と異なり鎧の出番も多くなっている。
シナリオ面でも、牙狼シリーズでこれまで雨宮慶太監督が描いてきたテーマの総決算的なストーリーになっており、終盤は良い意味で感情を揺さぶられるような物語に仕上がっていた。
残念な点があるとすれば、鎧ありの戦いが序盤と最終決戦に偏っていたこれまでの牙狼から分散したためか、本作の最終決戦はややあっさりしており、最終決戦に求めすぎてしまうと少しがっかりするかもしれない点だ。しかし、これまでとは違う魅せ方をしてくれているので、その点は安心してほしい。
シリーズのファンへのサービスも各所に散りばめられているので、シリーズファンにも見てほしいが、入門編としても最適と言えるので、初めての方は是非TAIGAからスタートしてほしい。
