「やはり牙狼は素晴らしい」牙狼 GARO TAIGA でしょってさんの映画レビュー(感想・評価)
やはり牙狼は素晴らしい
20周年記念作として作る映画には色々な方向性があると思うが今作は初代主人公の父の若い頃を描くという決断をした。
もちろん製作上の様々な判断もあるだろうが、その結果シリーズファンにとっても牙狼初心者にとっても観やすい作品に仕上がっており、ベストな選択であったと感じる。
登場人物の殆どが新キャラクターとなっているが雨宮監督独特のセンス抜群の世界観と洗練されたアクションさえあればそこにあるのは牙狼である。肝心のストーリーも想いと継承を正面から描く牙狼の王道を行くストーリーになっており「牙狼を観た!」という満足度がとても高い。
今作の若き日の大河はどの視聴者にとっても初めましての存在となる。それでも「鋼牙は父のこういうところに似たんだな」とも「ここは雷牙に受け継がれたんだなぁ」と思うところがあり、懐かしさも感じる。何より演じる北田さんのふとした表情が渡辺さんを思わせることもありちゃんと知っている大河なんだと感じることができる。各種媒体を見るにかなり苦戦しながら演じられたとのことだが表情に所作、アクションどれをとっても北田さんの大河は私の心を震わせるには充分な魅力があった。私には俳優さんの演技自体を評論できるほどの知見はないが大河役が北田さんで良かったなと心から思う。是非ともテレビシリーズを作ってほしい。
今作大河と行動を共にする魔戒導師の吹奇もとても素晴らしいキャラクターだった。既にガロの称号を持つ黄金騎士である大河はある程度完成されたキャラクターであることもあり、成長要素は吹奇に集約されていたように思う。力だけでなく心の面でも葛藤を見せる吹奇の姿には引き込まれるものがあった。ここも監督の演出と、なによりも神嶋さんの表情がとても素晴らしい。吹奇の最後の大河へのメッセージで思わず涙が堪えられなくなってしまった。とても良いキャラクターだったので再登場を期待している。
今作は好きな俳優さんの1人である浪岡さんが出演されることも楽しみの一つであったが、彼が演じる白虎は期待を遥かに超える素晴らしいキャラクターだった。白虎は大河の過去にも大きな影響を与え、吹奇の成長にも大きく寄与する。人智を超えた存在だがどこか気さくで気を許したくなる不思議なキャラクターだ。それの大部分は浪岡さんの素晴らしい演技のおかげだと思う。浪岡さんは普段は険しい表情の役が多いが、今回笑顔の良さを再認識することができた。
今作我らが魔戒騎士に立ち塞がるホラー・蛇道は雨宮監督の美的センスが爆発したとにかく美しい存在だ。おぞましい能力や震えるほど高い知性も兼ね備えた強敵だが、それらを凌駕する美しさに目を奪われる。公開前より瀬戸さんの抜擢には納得感があったが、物語の終盤に明かされた蛇道の過去を聞いて「なるほど、この人選になるな」とより深く頷けた。
他にも語りたいキャラクターがたくさんいる。
そんなキャラクターたちを通して牙狼の王道たっぷり味わうことができるのが今作の魅力の一つ。
どのメディアで見てもきっと面白いがスクリーンサイズが最も楽しめると思うので、上映館は少ないが少し無理してでも行く価値は多分にある。
最後にJAM Projectはいつも通り最高の良い仕事をしてくれた。映画を観て以来毎日繰り返し主題歌を聴いている。これからも牙狼の主題歌を歌い続けてほしい。
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