「キャラたちの変化に注目」劇場版 スメルズ ライク グリーン スピリット とうきさんの映画レビュー(感想・評価)
キャラたちの変化に注目
ちょっと不謹慎かもしれませんが、ゲスト俳優さんのアフタートーク目当てで観に行った。普段観ないジャンルなので、前知識を持って観に行った方とは、見え方が少し違うかもしれません。
ポスターを見た時は、もっと写実的なヒューマンドラマだと思っていましたが、実際は想像よりフィクション寄りの話で、後で原作が漫画だと知って「なるほど」と思ったのが、一番率直な感想でした。
自分にとって一番面白く感じたのはそれぞれの登場人物と家族との話でした。めちゃ怖いサイコの柳田先生も、まさかの秘密を持つ桐野も、どんどんカッコよく見えてきた元いじめっ子の夢野も、それぞれの生い立ちが、親たちから大きな影響を受けていることが凄く分かる描写で興味深かったです。そしてそれぞれの親たちを演じた役者さんたちの演技が本当に素晴らしかったです。
その一方で、逆に主人公の人物像が一番薄くて、まとまりがないように感じた。一見強そうな性格で家庭も良好そうなのに、なぜかいじめられてもずっと黙ったまま。特にいじめしてる子たちを怖がっている素振りが見えないから、そこが謎でした。ロン毛で普段から女の子っぽい格好してるから、親もとっくに受け入れているのかと思ったら、まさかまだカンミングアウトしていない。そもそも、なぜロン毛にしたのか、三島の考え方や成長過程をもっと深掘りしてほしかった。
ストーリーですが、自分をいじめていた子と大親友や恋人になったり、田舎で暮らす家族たちが、どんなにショックを受けても最終的に全員、子供の性的指向を受け入れたりと、ちょっと都合よくまとまりすぎたところは、フィクションっぽくて、ヒューマンドラマとして見ると、少し深みが足りないかな。(フィクションだけと)