劇場公開日 2025年7月12日

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黒川の女たちのレビュー・感想・評価

全43件中、41~43件目を表示

4.0女性たちに寄り添った姿に納得。

2025年7月12日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

知的

分かり易く弱い立場の女性たちに辛抱強く寄り添う姿勢に共感した。親の世代の加害性・責任に向き合い碑文の根回しの努力を惜しまなかった遺族会会長の健気さに頭が下がる思いだ。ただ、ハルエさんに寄り添う藤井さんの髪の色の変化に見られるように経年の状況と語るテーマが時系列ではないので、視覚的に少し混乱するかな。松原監督の前作「ハマのドン」は、利権に有り付けない保守のドンが菅陣営の反目に回り、敵の敵は味方さながらにリベラル派と共闘して選挙戦を戦ったご都合主義に無関心なのか都合が悪いのか全く触れなかったので違和感があったが、今作はそんな政治的な不公平感は感じることなく安心して見ることが出来た。 1点注文があるとすれば、満鉄以来の満州利権はあったものの、満州事変はどう見ても関東軍の暴走で、それを政府が事後承諾のような歪さがあったと思うが、断定的なのは何故なのかな?満蒙開拓団もソ連国境付近は武装した屯田兵のような方々もいたはずで、未開の地で他にも馬賊と戦闘を覚悟した方々も居たはず。 黒川村の方々のように、比較的安定した土地で、地元の満州人を追い出したパターンがデフォルトではないと思うのだが、そこはもう少し丁寧であるべきだったのでは?と思った。

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羅生門

5.0取り返しのつかないことを

2025年9月15日
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鑑賞方法:映画館

取り返しのつかないことを
ペラペラと喋りまくった男たち。そのふざけた心情は何処からくるのか。
ましてや弟までが。

逃げられない自責の思いからか?それとも拭えない過去の罪科と、その余りの悔いの大きさゆえか。
男たちは沈黙の緊張に耐えられずに、言い訳とアウティングを喋ることでなんとか自らの《生け贄》の責任を稀釈しようとしたのか?

でももしも自責の念があったのなら、男たちは一言も漏らさずにそのまま墓まで持っていき、死んでいってもらいたかった。

同性の男であることがこんなにも悔しくて恥ずかしい。
そして「これ」を引き起こすから戦争はダメなのだと、改めて世を説得すべきと思った。

・・

戦争とレイプは男の専売特許だ。
男は戦争とレイプに走る。元々別物のこの二つが残念ながら直結してしまうシチュエーションがある。戦場だ。本能が男を突き動かすし、それをさせる。
戦場での生命の危機は=アドレナリンを爆発させる。=そして死ぬ前に、訳も分からず、子孫を何とかして残すための=“行為”のスイッチが入る。
止められない。
その結果男は女を手籠めにする。

・・

本作が完成し、上映に漕ぎ着けるまで、その取材や撮影の進捗についての記事を、文字でずっと追ってきた僕であったが、その間にも世界各地で戦争は繰り返されている。

積み上げられた遺体の写真も見た。
「下半身裸の女性の遺体」は、恐らく誰かがせめてもの思いやりでうつ伏せにひっくり返してくれてやったのだろうが、
腰からお尻まで生皮が剥けて赤い地肌だった。なぜだか分かるだろう。

黒川
・「いいじゃねぇか、減るもんじゃあるまいし」のケダモノの声。
・「今もよみがえるロシア兵のベルトを外すときのカチャカチャ音のトラウマ」。
・「あっという間だった」という人身御供に供されたの娘の初日の思い出。
これら衝撃的なエピソードは、なぜだか映画では穏やかに省かれていた。

文字で読んできたこれまでのレポートよりも、ずっと淡々としてソフトで抑えた映像だったと僕は感じたのだ。

現地岐阜県での上映はどんなふうだったのだろう。
こんな事になるから男は戦争を止めなければならないのだと、観賞した男たちは感じられただろうか。
逆に
こんな事になるのだからさらに軍備を増強し、敵軍に勝たなければならないのだと、相変わらず言い続けるのだろうか。

「カミングアウトしたお祖母ちゃんを誇りに思う」と劇中語るのは女の孫だけだった。授業も女子校。
男へのインタビューが圧倒的に弱い。

・・

長野から渋谷まで遠征して鑑賞。

満員で、上映後松原文枝監督のトークあり。
◆なぜ取材時の耳をふさぎたくなるような生々しい証言は省いて生き残りの女性たちを守るために?優しくソフトにフイルムに収め、
碑文建立に奔走した男たちの姿に主眼をスイッチしたのか。
◆これで(こんなんで)ドキュメンタリーとして仕上げた真意は?理由は?まだ本人がご存命だから忖度もしたいよなぁ・・

それを監督に直に訊いてみたかったが、帰りの電車の予約があり、中座したのが悔やまれる。

詳細にして長大なあの「碑文」にペンキをぶっかける人間が出てくるだろうか。

ずっと考えていて、レビューまでもこれだけ日が経ってしまった。
(渋谷 ユーロスペースにて)

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きりん