「戦争の犠牲者はいつでも弱い人たち」黒川の女たち りあのさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争の犠牲者はいつでも弱い人たち
1930~40年代に日本政府の国策のもと実施された満蒙開拓により、日本各地から中国・満州の地に渡った満蒙開拓団。日本の敗戦が濃厚になるなか、関東軍は南下し1945年8月にソ連軍が満州に侵攻してきた。開拓団の人々は守ってくれる軍が居なくなり、命の危険にさらされた。岐阜県から渡った黒川開拓団の人々は生きて日本に帰るため、数えで18歳以上の15人の女性を性の接待役として敵であるソ連軍に差し出し助けを求めた。帰国後、女性たちを待ち受けていたのは差別と偏見の目だった。心身ともに傷を負った彼女たちの声は消され、この事実は長年にわたり伏せられることになった。しかし終戦から約70年が経った2013年、ソ連将校への性接待を行った黒川の女性たちは重い口を開き事実を公の場で語りはじめた。そんなドキュメンタリー作品。
ソ連は終戦後も民間人を襲ったり、シベリアへ連れていって過酷な労働を行わせたり、卑怯なのは昔から変わらないんだな、と改めて思った。
そんな中、黒川開拓団全員が殺されるか、ソ連将校の機嫌を取って生贄的に性接待をお願いされ、断ることもできず、対応した15名の独身女性の方には頭が下がる。
自分の娘、孫まで差別を受ける事を恐れて事実を話せなかったのも凄くよくわかる。広島で原爆を受けた被爆者も同じような思いだから、自分のことのように思えた。
戦争の犠牲者はいつも弱い人たちだなぁ、という感想で、この思いはどこにぶつければ良いのだろう。
まずは、多くの人にこの作品を観てもらい、知ってもらうことからかなぁ、とも思う。
機会があったら岐阜県白川町の乙女の碑を訪ねてみたい。
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