「ひとつづつ明らかにされるべき満蒙開拓団の悲劇」黒川の女たち エロくそチキン2さんの映画レビュー(感想・評価)
ひとつづつ明らかにされるべき満蒙開拓団の悲劇
80年前に満州で性被害にあった女性たち。これは彼女たちの証言により史実を未来に伝えんとするドキュメンタリー。
1932年(昭和7年)、中国の東北部に日本の実質的な植民地として建国された満州国。日本政府の国策のもと農業移民団である満蒙開拓団が日本各地の農村から入植した。
まずは多くの人が満州へ渡ったシステムを再認識する。
1941年から44年にかけて岐阜県黒川村(現・白川町)から渡った黒川開拓団。1945年8月にソ連軍が侵攻し、過酷な状況に追い込まれた。18歳以上の女性15人を性の相手として差し出すことでソ連軍に守ってもらう道を選択した。
帰国後の差別と偏見。
事実は長年にわたり封印されることに。
しかし終戦から68年が経った2013年、黒川の女性たちは手を携え、加害の事実を公の場で語りはじめた。女性たちの証言を松原文枝監督が丁寧に紡いだ。感動的なドキュメンタリーになった。
ただし黒川開拓団の悲劇は氷山の一角。
日本全国で約800の開拓団、27万人が満州り、8万人が犠牲になったという満蒙開拓団。困窮する農民を嘘のプロパガンダで誘導し、満州に置き去りにした日本政府が「死者の数では計り知れない悲劇」を産んだ。
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