劇場公開日 2025年7月12日

「哀れ棄民政策の果ての陵辱」黒川の女たち くーにー62さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5哀れ棄民政策の果ての陵辱

2025年8月10日
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鑑賞方法:映画館

冒頭、「満蒙開拓」の実態がいかなるものであったかが明かされる。傀儡国家・満州を実質支配する関東軍が入植者を配置したのはソ満国境沿いであり、ひとたび急あれば入植者を徴用する意図があったこと。日本各地から貧農を集め、甘言を弄してあてがった土地は、現地農民の家屋田畑を接収したものであったこと。未開の地を開拓するのではない、武力をもって収奪した農地を居抜きであてがったのだ。さらに、入植した日本人部落の人員構成など詳細な情報がソ連側に知られていたこと。
黒川開拓団の悲劇がそのあと語られるのだが、まずもって杜撰ででたらめな植民地である満州に、多くの日本人を送り込んだ政府・軍部の棄民政策にこそ原罪がある、と制作者はこの序章を忘れなかった。
戦時中の性被害というと慰安婦問題が想起されるが、これも当事者からの告発がきっかけであった。なかったことにされては2度死ぬことになる。悲痛な声に我々は耳を傾けなければならない。

くーにー62
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