「戦争はいつでも男の顔をしている」黒川の女たち AZUさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争はいつでも男の顔をしている
黒川開拓団のことは以前から知っていたが、当事者の方々の実際の声を聞いたことがなかったので、とても興味深かった。
戦争だから
生きるためだから
みんなを守るためだから
様々な大義名分を無理やり突きつけて、半ば強制的に犠牲にさせた乙女たち。
戦争が無ければ、青春を謳歌し、人によっては素敵な恋をして、様々な選択肢ある未来を歩めた乙女たち。
本来ならば、守ってあげなければならない立場の乙女たちに、戦争を起こさせた大人たちが、さらに地獄を味合わせた現実に反吐が出る。
そしてそれを恥ずかしいことだと隠し、そのせいで周りに歪んだ認知を引き起こし、差別や偏見を招く状況にさせたこと、彼女たちが立ち上がるまで何もしなかったことにも反吐が出る。
この事実を無かったことにしないように尽力した人々には頭が下がるし、これを記録として映像に残したことは素晴らしいことだと思った。
ただドキュメンタリー映画という視点で見ると、もう少し構成や編集はブラッシュアップできたのでは無いかと思う。
当時の様子をわかりやすいイメージ図に起こすとか、加害者の男性側のインタビューを複数入れたりだとか、もう少し作り込みや工夫が欲しかった。
なので、点数をつけるのが難しく、ドキュメンタリー映画としての観点と、映画のテーマ性やこの作品の目的の間を取り、ちょっと厳しめにつけました。すみません。
劇中でもある男性が言っていたように、なぜこんなことが起こってしまったのかを考え続けることが、今の私たちには必要だと思う。この作品はそのきっかけを与えてくれるような作品だった。
コメントする