「オーボエによるオーケストラのチューニングで幕を開ける」カーテンコールの灯 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)
オーボエによるオーケストラのチューニングで幕を開ける
なぜ、オーボエによるチューニングが選ばれたのかは、劇中で明らかにされる。
大きな悲劇を経験し、それと向き合うことができないでいた家族。父親の(転職を余儀なくされたらしい)迷える道路作業員ダン(キース・カプフェラー)が素人劇団に参加することにより、一筋の光明がさしてくる物語(原題はGhostlight-舞台にさす一筋の光)。ダンを演じたキース・カプフェラーも、あくまで素人として劇に参加することもあり、一貫してOld School(古い人間)として振る舞った。
前半、一番目立ったのは、ダンを劇団に誘ってくれた小柄のプロ俳優リタ。演じているドリー・デ・レオンは、フィリピン系らしい。ダンの妻シャロン(実の奥さんタラ・マレン)や娘デイジー(本当の娘キャサリン・マレン・カプフェラー)が劇に関与するようになると、目立たなくなったことにも、好感が持てた。
後半は、デイジーがよかった。それまで、16−7歳なのに、タバコや酒を飲み散らし、学校でもブーたれているだけだったのが、演劇、ミュージカルが出てきた途端、生き生きする。
劇の途中、建物の外で雨が降ってきた時、なぜか、あのオーボエの音が思い出された。
ただ、それだけの映画なのだけれど、郊外の平屋の家、運転台の後ろが網目のトラック、奥さんのシャロンが教員だったらしいことなど、リアリティがあった。
夏の夕暮れにぴったりの映画として、おすすめ!
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