鬼平犯科帳 暗剣白梅香のレビュー・感想・評価
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令和版の新解釈も期待したいところ
鬼平犯科帳 暗剣白梅香
2025年
松本幸四郎主演の令和の鬼平犯科帳も早いもので第6話
役者が変わって新しい配役にもようやく慣れて、落ち着いて観ることができるようになりました
おまさへの違和感は今回で克服されました
これはおまさだと、自分の中で納得がいきました
さて、今回のお話は数ある鬼平犯科帳のなかでも、指折りの人気エピソードですので期待も高まりますが、反面かなり高いハードルでもあります
全体としては、令和版も面白く、時代劇の醍醐味を堪能させて頂きました
しかし、平成版を上回るものがあったかというとそうではないのです
平成版では、白梅香をなぜ金子半四郎がつけるようになったのか、
そして暗剣と鬼平が勝てぬかも知れぬとまで思わせた彼の恐るべき殺気が鈍り、今のお前には俺を斬れぬと見抜かれるようになったのかにお話の焦点が当たっており、そこに、武士の哀れみが凝縮されて原作者池波正太郎からも原作者されていました
令和版ではどうか?
金子半四郎の暗剣の殺気が消えるに至った女郎の存在がなくなり、単に仇討ちの不思議な因縁だけに焦点が当てられたお話しになっているので、結末での余韻も浅く、何の為の白梅香であったかの納得性も無くなっていまいました
平成版が女郎を登場させたのも、白梅香の説得力を増すための工夫から、発展して金子半四郎の暗剣の殺気が失われる展開になったものだと思います
令和版では、白梅香をどのように位置づけるのかが一番の肝だったとおもうのですが、そこには、対して関心を示さず、金子半四郎の敵討ち話不思議な因縁だけで終わらせられてしまうとこのエピソードの魅力の半分を捨てているのと同じように思いました
令和版では、白梅香だけでなく、おまさから白粉を金子半次郎に買わせるシーンをいれてきたので、金子が男色であったならという仮説でのお話の展開かも知れないと新しい時代性のある展開を期待したのですがそれは、こちらの勝手な期待で不発でした
とはいえ、令和版もいよいよ面白くなってきましたこれからも楽しみにしています
この改変は、是か非か
"鬼平犯科帳(十代目松本幸四郎版)" シリーズ第6作。
Amazon Prime Video(時代劇専門チャンネルNET)で鑑賞。
原作は読了済み。
原作の中でもお気に入りエピソードのひとつである「暗剣白梅香」。中村吉右衛門版でも記念すべき第1話として製作されており、そちらも原作の再現度が高くて好きな回だ。
よって十代目松本幸四郎版での映像化が発表された際はとても嬉しくて、金子半四郎役に早乙女太一を配しているのも、原作を読んだ時にイメージしていた像に近くて興奮した。
「暗剣白梅香」が好きな理由は、金子半四郎にまつわる因縁が導いた、あっと驚く結末の意外性にある。因果は巡る糸車、仇討ちする側・される側の思わぬ相違が面白かった。
ところが今回の映像化は、勝手に期待していただけだろうと言われればそれまでだが、期待外れの出来であったと述べざるを得ない。原作の良さを殺してしまっていたからだ。
半四郎の敵(かたき)を彦の市にしたのは上手い。しかし、半四郎の死に方に納得がいかない。いったいその部分を変える必要があったのかどうか、疑問が生じたのである。
本作の半四郎は、武士の掟(敵討ち)の呪縛から、また闇の世界で生きざるを得なかった運命から解き放ってくれる相手と出会うことを望んでいた、と云う風に描かれていた。
仕掛人としての最後の仕事と、平蔵との一騎打ちの果てに倒された半四郎の最期は印象に残る良いシーンだったが、原作の持つ意外性は全く損なわれてしまっていてとても残念だ。
彦の市との因縁も、上手いことは認めるが、単に前作との繋がりを持たせるためだけの変更に留まっている。もう少し絶妙な活かし方があったのではないかと思えてならない。
[追悼]
火野正平氏の想い出と共に…
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