Dear Stranger ディア・ストレンジャーのレビュー・感想・評価
全55件中、21~40件目を表示
余白を想像して楽しむミステリー
誰が犯人なのか、背景に何があったのか、
事件の一部真相を明白な形で提示、説明させず、
匂わせるに留めて余白をつくっているところが
いかにも映画的な表現でミステリーの描写として面白い。
夫婦それぞれにとっての人形や廃墟という存在が、
外国の都会で異邦人として生きる辛さ、困難さから逃れるための
なにか象徴的な憧れの対象なのか、いろいろ想像させられるが、
そういった意味づけはさておいて、
妻の人形劇の発表会や夫の大学の廃墟に関する講演シーンは楽しくみました。
全般に暗い画面で、負の感情の場面が多く、
音楽も少な目でどんより重い映画でした。
廃墟と人形
精神を蝕む見えない暴力に圧倒されっぱなし。
故障しかけた車から鳴り響く不快音、どんよりと曇った空、発色を抑えた照明など。
それらにより常に不安と恐怖が付き纏う作品で、派手な暴力シーンがないにも関わらず、圧倒的な暴力に怯えながら鑑賞しなければならない作品でした。
真っ向から直接的に暴力を描いて来た監督作品とは雰囲気が違うものの強盗や誘拐といった心を掻き乱す暴力がひとつの装置となって夫婦の関係を壊し、退廃させていく点では監督の色が出ている作品だと感じました。
ジム・オルークが奏でるジャズも素晴らしく、あの不穏な音色に不条理な映画を観ているような気分にも浸れました。
個人的には体感3時間くらいに感じる作品になってましたが、飽きるどころかずっと作品の中に引き摺り込まれるような錯覚さえ味わえました。
撮影環境も違うアメリカで時間のない中、妥協点を見出しながら撮ったとは思えない仕上がりにただただ感服してしまいました。
余談ですが、監督と主演の西島秀俊さんが感心していたグイ・ルンメイさんのパペット・マスターぶりが凄い!
小さな人形で喜びや悲しみ、そして怒りを表現するのですが、人形の僅かな首の動きや手の位置だけでそれらを見事に表現しています。
まるで生きているかのように見える人形に鳥肌が立ちました。
そうした点も含めて、何度でも鑑賞したくなる仕掛けが沢山あり、当分劇場通いがやめられそうもないです。
仮面ライダーBLANK?
2025年映画館鑑賞88作品目
9月15日(月)フォーラム仙台
会員デイ1300円
監督と脚本は『ディストラクション・ベイビーズ』『宮本から君へ』の真利子哲也
粗筋
賢治とジェーンの息子カイが行方不明になった
ジェーンの元恋人のドニーが誘拐したのだった
実はカイの本当の父親はドニーだった
ドニーは射殺されてしまう
カイの誤射ではなかった
当初は観る予定ではなかったが本来の目的の『リンダリンダリンダ』まで時間があったので
西島秀俊はわりと好きだし
話の内容としてはつまらないはずだがわりと苦痛に感じることもなく眠くもならなかった
おそらく真利子哲也監督がかなり有能なんだろう
確かに死人が出てから真犯人が逮捕されるまで必要以上に長かった気はするし2時間以内に収まったはず
でも真利子哲也監督にも拘りがありそれはできなかった
人形劇がシュールだった
ドリフのジャンボマックスみたいなやつ必要か
何が面白いんだがよくわからなかった
車うるさい
さっさと修理しろよ
配役
ニューヨークで暮らす日本人で建築学を教えている准教授の才賀賢治に西島秀俊
中華系アメリカ人の妻で人形劇団のアートディレクターのジェーンにグイ・ルンメイ
賢治とジェーンの4歳の息子のカイにエヴェレスト・タルデ
ジェーンの元恋人のドニーにジュリアン・ワン
ドニーの現在の恋人にフィオナ・フー
ニューヨーク市警の黒人刑事にクリストファー・マン
落書車とプーリー音が鳴り止まない
Dear Stranger ディア・ストレンジャー
日本の大地震で全ての家族を亡くした男が辿り着いた家庭は、
日本語と台湾語と米国語で話する家庭、他者の子を身もごりした女性結婚しその子が成長した子供との三人暮らし。
子供は本当の実父親を知らずにいる。
子は鎹(カスガイ)と言うけれど、虚偽している夫婦には子供は楔(クサビ)でしかない。
この刹那的な選択が、夫は廃墟研究に、妻は人形劇に、子供はゲームに夢中となり亀裂を大きくさせて行き、糸の切れたタコの様な子供は浮遊を始め、孤独な実父は復讐心から悪戯や強盗に子供を誘拐する。
この辺りで、結末は見えてしまった。
この後は冗長となり、締めて欲しかった。
ところが、思いもよらないラストが待っていた。
偽父親の落書車と死亡実父の落書車が交差点で衝突事故を起こすのだ。
廃墟に美を観るのは、恥なのか怒りなのか、それとも…
賢治は、自首をしたのか?子息の罪を被ったのか?
それとも、ドニーは暴発、自殺したのか?
ストレンジャーですか?
レビュー35
(^∇^)
Dear Stranger ディア・ストレンジャー
「ディストラクション・ベイビーズ」「宮本から君へ」の真利子哲也が監督・オリジナル脚本を手がけ、
「ドライブ・マイ・カー」の西島秀俊と「薄氷の殺人」のグイ・ルンメイが夫婦役で初共演した、
日本・台湾・アメリカ合作によるヒューマンサスペンス。
ニューヨークで暮らすアジア人夫婦を主人公に、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦の秘密が浮き彫りとなり家族が崩壊していく姿を、全編ニューヨークロケで描き出す。
ニューヨークの大学で廃墟の研究をしている日本人助教授の夫・賢治と、
人形劇団のアートディレクターとして夢を追いながら、老いた父のかわりに地域密着型ストアを切り盛りしている台湾系アメリカ人の妻・ジェーン。
仕事や育児、介護に追われ余裕のない日々を過ごしていたある日、幼い息子・カイが行方不明になってしまう。
警察は誘拐事件とみて、夫婦それぞれから事情を聴取する。
悲劇に翻弄されるなかで、ふたりがこれまで胸に秘めてきた本音や秘密が浮かび上がり、夫婦間の溝が深まっていく。
Dear Stranger ディア・ストレンジャー
2025/日本・台湾・アメリカ合作
今ひとつ散漫な気がする。
人種の坩堝、大都会の廃墟と現代人の心の荒み、これらがテーマなのかな。托卵というか妻の不貞というべきか、男の甲斐性のなさと研究テーマの「廃墟」が少しやり過ぎな程に記号的で、ちょっと気になるところ。なので警察の捜査と鑑識が余りに雑なのは、あんな程度の事件にマンパワーを投入することを無駄と思っているアメリカの行政機関としての警察の限界なのか、話の展開上あの程度で良しとしておかないとと思った脚本家・演出家の都合かは分からないが。日本人が監督してもあの景観と空気感でアメリカ映画っぽくなるのね。後半の西島秀俊がビルの合間のオフィス街を車で進む主観映像を見ていて、勝新太郎主演の勅使河原宏監督・安部公房原作の「燃えつきた地図」を思い出して懐かしさを感じた。思ったより長さは感じなかった。大好きなグイ・ルンメイを見ることが叶ったからか。とりあえずは満足しています。
すごくおもしろかった
もったいない
テーマは良いし、面白くなりそうな要素が随所にあるが、結局は海外のアート系映画を装った独りよがりな日本映画で終わってる。
この監督は、はっきりと描かないことが良い、と勘違いしているのではないだろうか?もちろん説明的に全てをセリフで説明しろとは思わないが夫婦間の葛藤にせよ母語ではない英語でのコミュニケーションの不全にせよ、人形や廃墟に託された意味にせよ、謎めかしている割に全てがあまりにも「ありきたり」過ぎて興醒めしてしまう。廃墟となった劇場で拳銃をぶっ放したり、街中で人形の幻影をふらふらと追いかけるといった予告で印象深かった思わせぶりな場面も、結局大した意味はなかった。散々もったいぶった挙句、何の意外性もないままこの程度の内容で観客を置き去りにして唐突に終わる構成に怒りすら覚える。
おまけに画面も暗すぎる。演出意図としてあまりにも安易だし、それ以前に「グレーディング下手くそだなー」としか思えない。
全てが中途半端。すかしてんじゃねーよ。
イライラ、憤り、曖昧模糊・・・
人形や動物のパペットはかなり良かったけど、他があまりにも良くなさすぎた印象で、申し訳ないけど、結構嫌な作品だったという印象です。
ざっくりとした流れや表現したいことは伝わってきたのですけど、肝心な場面がめちゃくちゃボカされているというか、はぐらかされているというか、混乱きわまりない描き方で、なんか、主演の怒り爆発の演技でもってこちらの憤りも助長されていく感覚で嫌でした。それまでにも、ずっと気になる音やら決して消されることがない落書きが終始見ているこちらの気持ちをざわつかせ、それは分かりやすさやシンボリックという意味では見事なまでに表現されているとはいえ、観賞する立場としては、かなり嫌な感じでありました。
展開や設定、ストーリーと、全てにおいてツッコミどころ満載です。格好良さや独自性ということの前に、まずは最低限すべきことがあったんじゃないかなぁと生意気にも思ってしまいます。懸命に質の高い作品を作ろうとしていることは十分理解できるのですけど、それでもなお文句を言いたくなるような困った作品だなーなんて─。
本当は気になるツッコミどころを並べ記そうかと思ったのですが、疲れるだけでだれも得しないので、これで終。
グイルンメイ
雰囲気優先でイマイチ没入できない
■ 作品情報
監督・脚本は真利子哲也。主要キャストは賢治役に西島秀俊、ジェーン役にグイ・ルンメイ。日本・台湾・アメリカ合作のヒューマンサスペンス。
■ ストーリー
ニューヨークで暮らす日本人教授の賢治と、台湾系アメリカ人の妻ジェーンは、仕事、育児、介護に追われ多忙な日々を送っていた。ある日、4歳の息子・カイが誘拐される。この事件をきっかけに、一見幸せに見えた夫婦の間に隠されていた本音や秘密が露呈していく。誘拐犯が死体で発見され、警察の捜査が進むにつれ、夫婦が抱えていた“暴いてはいけない秘密”が浮き彫りになっていく。
■ 感想
誘拐事件という衝撃的な出来事が、幸せだった家族に大きな試練を与え、夫婦関係が急速にギクシャクしていくさまが、痛ましくも切ないです。しかし、その幸せは元々、本音や真実を隠した危ういバランスの上で成り立っていたのではないかと感じます。事件はあくまできっかけであり、すでに内在していた不和への止めを刺すかのように、夫婦の間に潜んでいた秘密や本音を浮き彫りにしていきます。
全体に漂うのは、上質なヒューマンサスペンスの雰囲気。夫婦間の心理戦や、隠された真実が少しずつ明らかになる過程は、確かに観客の心をざわつかせます。夫の賢治が廃墟研究に没頭し、妻のジェーンが人形劇に打ち込む姿は、彼らの生き方や内面を色濃く反映しているように思えます。
しかし、正直なところ、その象徴性が難解で、彼らの行動や感情に深く共感することができませんでした。そのため、物語世界に没入しきれず、どこか客観的な視点で展開を追ってしまっていたのが残念です。
また、二人の過去があまり明確に描かれないことや、画面の暗いシーンが多いことも、物語の魅力を掴みにくくしているように感じます。雰囲気作りには貢献しているものの、それが物語の骨格を曖昧にし、感情移入の妨げになっていたのかもしれません。観終わった後には、重い余韻が残るものの、個人的にはもう少し踏み込んだ人物描写や明瞭な語り口があれば、より心に響く作品になったのではないかと感じています。
優秀なパーツはあるが面白くならない不思議さ
ニューヨークと俳優の佇まい、ルックはとてもいいのに、、、という感じ。終始お話のスピードはあがらず、エモーションも繋がらず、ハッタリもあまり効かず、物語のスイッチが入った途端に停滞に移り、そしてこちらがまたお前かと言いたくなる「ひとり警察」が気の抜けたゴーストのようにフレームに入ってくる。。
設定は悪くない。舞台はニューヨーク、日本人と中国人夫婦、言葉の違い、分かり合えない夫婦にはその理由があった。ただそれは言葉の壁だけではなかった。。まあ結婚して5年もすれば言葉の壁とかの問題ではないよな。そして冒頭からどうもふたりの子どもには見えないよなと思ってるとネタ的にそうだったか。そして誘拐事件は夫婦間の亀裂に含まれる問題が表面化したものでもあった。
なんというかミステリーやサスペンスの語り口が上手いわけではないのにネタを盛り過ぎというか。『落下の解剖学』も確か国籍言葉が違う夫婦だったと思うけど、ああいうのを観てしまうとネタがうまく使えてない、と思ってしまう。更に英語でのお芝居がなんか興を削ぐ。西島秀俊の廃墟散策とかグイルンメイ単独の人形芝居などはいいが、セリフの掛け合いというかぶつかりあいになると途端にこなれない苛立ちの連続で単調になる。この監督はセリフではない描写でないと面白さが出ないのでは、と『ディストラクションベイビーズ』を思い出す。更に音楽はジムオルークだが、これも使い所が何かもったいないというか。。振り返ってみても各パートはクオリティは高い、というかそういう人が集まってる感じがするけどまとまって力が発揮されてないというかモタモタし過ぎてる
Drive My Car Again
ニューヨークの大学で教鞭を執る日本人助教『賢治(西島秀俊)』の研究対象は「廃墟」。
その原体験は、「1.17」にある。
震災で家族は皆亡くなり、自分だけが生き残ったことに
罪の意識を抱えている。
妻の『ジェーン(グイ・ルンメイ)』は中華系のアメリカ人。
人形劇団のプレイングディレクターも、
今は四歳の息子『カイ』の世話と近所に住まう父の介護、
母が経営する雑貨店のサポートに追われ劇団は休止状態。
ある日、幼い息子が誘拐される。
それを契機に、隠れていた夫婦の感情のすれ違いが露呈するプロットも、
実際はそれ以前から関係の軋みが各所に見られる。
廃墟となった映画館を定期的に訪れる『賢治』や、
家に持ち帰った人形と密やかに戯れる『ジェーン』の姿はその証左。
夫婦が今の住居に越した経緯すら、
互いの利便が優先されたとの不満を持つ。
それが事件を契機に表出したに過ぎない。
事件は誘拐犯が死亡し、息子が無事に保護されたことで
一旦の解決を迎えたに見えたが、
警察は四歳の幼子に疑いの目を向ける。
結果は『賢治』の贖罪的な行為に繋がるも、
科学捜査はどこへ行ったんですか?との疑問が頭をむくむともたげるほどの
無能な捜査ぶり。
一見有能そうに見えた刑事は、
全てを理解した上で『賢治』の表面的な罪滅ぼしに手を貸しているのか、と
穿った見方をしたくなるほどの意味不明な行動。
息子のことになるとエキセントリックな態度をとる『賢治』。
が、捜査への協力をあからさまに拒否したり、
証拠らしきものを見つけても独断的に行動したりと、
あまりにもアンビバレンツ。
共感の欠片も持てぬ人物造形。
廃車同然の自家用車に乗り続けるのは
「廃墟」についての想いの延長とともに、
自身の心中の荒廃をも象徴しているよう。
『ジェーン』にしても、
何故か重要な手掛かりを警察に渡さない。
普段の息子を溺愛する態度と、
あまりにも裏腹に見える。
身近な存在でも、
言葉によるコミュニケーションが不全で
時として衝突するのは共同生活の常。
それをどうにか折り合いをつけるのは
継続する課題も、
心の奥底に潜む闇が阻害する。
シンプルなテーマを
持って回った表現で却ってわかりにくく描く。
一方でモチーフはありきたりで、
斬新さはない。
中途挟まれる人形劇のシーンも、
何を象徴しているかさえわからない。
三拍子揃った独りよがりの一本だ。
雰囲気ある作品だけど好みではない
全55件中、21~40件目を表示










