「記号的観測」Dear Stranger ディア・ストレンジャー ブレミンガーさんの映画レビュー(感想・評価)
記号的観測
国籍が違う俳優陣が多く集まり、舞台はNY、多くの国に属している作品というところに興味を持って鑑賞しました。
んー…?夫婦間での歪み合いが凄まじくなっていくもんかなーと思ったらその歪み合い含め展開がノロノロしていて、その上母国語を喋らない2人がメインの会話が多いからかテンポも悪くなっており、テーマ性も多くぶち込んでいる割にはそこまで活かしきれていないという、どっちつかずどこへ向けた作品なのか全く掴めずまま終わってしまいました。
廃墟と人形劇はそれぞれの人物の比喩なんだろうなとは思いつつも、行間がありすぎかつ観客に委ねすぎて何もない時間が結構あったのも個人的にはマイナスかなーと思いました。
元々表面上うまくやっていそうな夫婦が子供が誘拐された事により関係性が壊れていくヒューマンミステリーという筋はシンプルなはずなんですが、あっちやこっちや手を出してしまっているが故にグチャっとしてしまっている印象がありました。
両親2人もしょっちゅう子供を見逃すくらい自分本位なのもアレなんですが、そもそもガキンチョが落ち着きなく動き回るのもなんだかなぁって思いました。
まぁあのくらいの年頃ならと許容はできるんですが、施設内を3輪車爆走はあかんやろ…と思ってしまったり。
警察の捜査が杜撰すぎるのがポンコツ邦画と比べても、真面目な雰囲気を出しているがためにより脆弱性が際立ってしまっているなと思いました。
めっちゃ監視カメラがあるのにろくに調べず、証拠もバンバンあるのに雰囲気だけ出して闊歩し、最後の方もドヤァって佇んでいる様子ばかりでイライラさせられました。
この手の刑事はしっかり有能であって欲しかった…。
そのせいで作品自体の印象が悪くなってしまった気がします。
子供が誘拐された理由もまぁそうだろうなーくらいでインパクトは薄く、それでいて結構展開を引っ張りまくるので内容が無いよう状態が延々と続いて脳内カオスでした。
前半から後半にかけて夫婦2人の言動もトンチンカンになっていき、特に旦那の賢治は行き当たりばったりで、もう清々しいくらいに自分に酔ってる感じがして、自分の保身してる場合じゃないでしょ…と行動全てに呆れてしまいました。
監督の作品からして熱いぶつかり合いがあるように思えたのですか、感情と感情が互いを高め合っていた過去作と比べ、熱いぶつかり合いというよりかは相手の悪いところ探しに熱がいってしまっており、バチバチというよりかはネチネチしたぶつかり合いが奇妙でした。
全体的に男性視点での物事が描かれているので、男性女性それぞれで見方も変わるとは思うんですが、総じて苦手な人は多いんじゃないかなと思いました。
俳優陣も演技の違和感がどうしても拭えなかったです。
全編渡ってほとんど英語での演技をやってのけた西島さんとグン・ルンメイさんは凄いんですが、どうしても会話のラリーがうまいこといっている気がせず、ゴリゴリ日本生まれ日本育ちでも分かる英語の違和感がずっとあってモヤモヤしました。
他の俳優陣も淡々としているので、作品としては合っているのかもしれないんですが、主役たちを食ってしまう勢いの俳優がいたら良かったのになぁとは思ってしまいました。
オチもグダグダして中々終わらないのも嫌ですし、なんじゃその終わり方はとなってしまったのも残念でした。
まぁーしっかり苦手な作品でした。
テーマを深掘りできれば面白く観れるのかもしれないんですが、意味なく鬱屈になってしまっているのもあり、もう一回観るのはちとハードかなと思いました。
鑑賞日 9/12
鑑賞時間 12:00〜14:25
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