「物語(映画)としての不足感が大きい歴史朗読舞台」ベートーヴェン捏造 HGPomeraさんの映画レビュー(感想・評価)
物語(映画)としての不足感が大きい歴史朗読舞台
本作、私は終わり方は良かったと思いました。
ですが、全体的には微妙な気分での鑑賞となりました。
まず、番宣の映像の見せ方と、脚本をバカリズムさんが手掛けたという事、日本の歴史では無く外国の歴史を映画化しており日本人が外国人役を演じている事などで、本作の7割以上は「コメディ」での見せ方が多いのではと期待していました。
が、思いのほかシリアスなシーンが多い物語の進行。
いや、「歴史」と「真実」の解釈をほぼ真面目に映画化しており、加えてクラッシックが音楽の大半を占めていた為、完全にシリアスな物語の運びだった。
多少のコメディタッチな言葉は有るものの、コメディな演技が皆無だったのは、個人的に物足りなかった。
コメディ要素は「セリフ」だけである。
しかも「日本人」としての日常的な言葉遣いを取り入れただけであった。
これに関しては非常に残念だった。
「笑い」を体感することを期待してしまったので、私は福田監督の「今日から俺は!!」とか「新解釈 三国志」のような、またバカリズムさん脚本の「地獄の花園」や「黒い十人の女」のような、「笑い」を取り入れた物語を期待してしまったので。
また、「コメディ」では断じてないので、あの番宣はちょっと良くないなと感じました。
あの番宣の見せ方は、完全に「コメディ」を意識させるものであったので、せめてシリアスで真面目な映像も対等な割合で番宣に組み込んでくれていれば、納得できたかもしれません。
物語としては史実を基にした物語を、ある意味「真正直」に映画化に取り組んでおり、また歴史の事実性の危うさを映像として印象的に観せた最後には、「闇」を感じさせ考えさせられ、それらは面白いなと思えました。
ただ如何せん、物足りなかった。
①ギャグが少ないので、せっかくの役者さんの「コメディに見えるかもしれない演技」が、本当にそのまま「コメディに見えるかもしれない演技」で留まってしまい、全く笑えなかった。
②ストーリーテラーとしての学生と先生、その「ペア」である必要性は感じなかった。
何故なら、あの学生にも先生にも、何かを得ていたり考察していたり奇妙な「因縁」があったりする「背景」や、逆に全く関連のない第三者の「立ち位置」も感じず、中途半端な交わりしか感じない印象だったので。
社会人同士でも学生同士でも、図書館の職員同士でもお父さんと息子でも誰でも成立してしまう程度だった印象でした。
③全体的に歴史(解釈)を映像化することに徹している様で、物語としての「起承転結」が薄い印象でした。
都度都度の物語に浮き沈みは設けてますが、通して映画を感じてみると、感情に伝わる「起こり」「展開」「転換」「結末」が物足りなく、あくまでも歴史(解釈)を「なぞってる」印象が強かった。
個人として、簡単なその証明としては、登場人物の全てに中途半端な印象しか残らなかった事が大きい。
主人公や準主役、脇役、重要な脇役などなど、印象に残った人物がだれ一人最終的に確立されなかった。
④歴史の豪華キャストが多すぎ。
顔と名前が一致しなかったり(日本人だけになおさら混乱)、誰が何をしたのか印象に残る見せ場が分かりずらかったりしました。
⑤名曲の「クラッシック」に固執したためか、「音」が「癒し」に近く、さらに「見せ場」のようなワクワクする展開が無いため、眠くなってきてしまった。
以上、裏切り?やもめごと、また歴史や真実の曖昧さの表現は面白い部分もあったが、様々な効果や見せ方が出来る映画としては、明らかに「不足感」が大きかった。
せっかくの映画なんだから、また恐らくコメディ要素も念頭に有ったと思うので、エンターテインメント作品としての制作を十分に発揮してほしかったと感じました。
残念でしたが、出演した俳優の方々は実に豪華だったし、ラストは感情を乗せれたので、良かったかなと思いたい。
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