おーい、応為のレビュー・感想・評価
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脚本不出来で退屈地獄
大森立嗣、すっかりベテラン監督の名に安住したのか、及第点に留まってしまうのが昨今の彼。脚本も任され自由闊達にコントロール出来得る立場なのに、年間2本の勢いも1本に減り、その分熟成しているかと思いきや却って希薄にしか見えないのが残念です。本作も葛飾北斎の弟子であり娘でもあった葛飾応為を主人公に何を描くのかと思いきや、何にも描かれてないのに驚きました。
出戻った以降の親子の描写にフォーカスしても、所詮北斎の動向に殆ど左右され、応為すなわち無為無策とまで言いたくなってしまう。当然に北斎ほどにその実像は判らないのであれば、思い切った脚色を施せばいいものを、だらしない惰性の夫婦よろしく、怠惰な親子を続けるのみ。引っ越しも津軽遠征も北斎の決めたこと、映画の主人公として何を決めどの方向にベクトルを定めてたいのか。何にもしない事を多分描きたかったのかもしれませんが、北斎はお栄を邪見にするばかりである以上、無為そのものを描こうったって無理がある。
もちろん長屋の風情から光の差し込み方やら背景の作りこみはしっかりしており、着物が少しはだけるあたりまで、しっかり行き届いた描写なのは確かですが、応為を際立たせるまでには行っていない。そもそもあれだけ長屋の住民がいるのだから、彼等を通じて親子を客観的に描いてもよかろうに。髙橋海人扮する浮世絵師・渓斎英泉からの視点もあってよさそうなもので。長澤まさみとの歳のバランスも合わず、親子3代にすら見えてしまう。
なにより人間でしょ、恋煩いなりエロティシズムなり、創作への壁も、スランプもなんにも描かれない。面白くなる要素がゼロでしね。まさに女だてらに肩で風切り、キセルを吸う姿といい、そんな様相が江戸の下町にどんな波紋を投げかけるのか、そこにこそお栄の真実が見えるってものだと思うのですがね。結果的に久々の適役を十分にこなした永瀬正敏の演技に主軸が移ってしまい、お栄は脇役としか見えない。北斎の登場する映画は結構描かれ、脇役に娘も登場するけれど所詮世話係のようなものでしかない。娘として、父親の能力にひれ伏し金魚のフンのように付きつつも自らの創作への努力なりを観たかった。
貧乏長屋のくせに、ほどほどの収入もあり、引っ越しそばを食うのも楽々で、荷車一杯の物持ちでもある。津軽行きの決断も観客には理解出来ず、奥野瑛太扮する田舎侍のしてやったり顔のカットもなし。篠井英介扮する粋な小唄師匠を明確にゲイとして描いているものの、だから何?と中途半端。
要するに大スター長澤まさみ主演の作品としてが第一義なわけで、もちろん長澤まさみはほぼ完璧に主演をこなし、この男勝りを演ずるのに不足はない。なによりタイトルが「お~い」でしょ、誰が編中でお栄を必要と呼びかけましたか? この根本的祖語が躓きの原因なのでしょう。
意外に少ない浮世絵成分に拍子抜け
浮世絵関連の映画と言えば、2年程に内野聖陽主演の「春画先生」と、春画を取り巻く現況を伝えたドキュメンタリーの「春の画 SHUNGA」が立て続けに公開されましたが、本作は稀代の浮世絵師・葛飾北斎の娘の応為を主人公として、長澤まさみが応為を演じる時代劇でした。
本作では、実際男勝りだったらしい応為の性格を強調していましたが、何せ長澤まさみが演じているので、ツンツルテンの着物を着ていても、かえって色気と美しさが勝ってしまうところが微妙と言えば微妙。また、”浮世絵師”の物語ではあるものの、”浮世絵”に触れる部分が案外と少なく、浮世絵好きの私としては、その点もちょっと欲求不満でした。”浮世絵”そのものに触れる部分が少なかったのは、「春画先生」の後半部でも同様でしたが、本作は全編に渡って”浮世絵”に触れる下りが少なかったのは、応為を演ずる長澤まさみにスポットを当てる作品だったからなのでしょうかね?
ただ人間・応為の物語だったとしても、彼女が何故父に倣って浮世絵師の道に進んだのかといったことや、彼女の浮世絵に対する心情とか姿勢などについてもあまり取り上げられていなかったので、人間・応為の輪郭がガラッパチであるとしか解せなかったのは残念ではありました。
あと、これはかなり些末なことですが、年代を紹介するテロップが西暦のみだったのも、ちょっと気になるところでした。せめて和暦を併記して貰った方が、もう少し時代劇的な雰囲気を醸し出せたのではないかと思うところでした。
応為の描き方や浮世絵成分の低さに不満の残る本作でしたが、俳優陣は中々でした。特に北斎を演じた永瀬正敏は、年を経るごとにそれらしくなっていき、自ら”画狂老人卍”と号した風格を漂わせていました。北斎の妻にして応為の母であることを演じた寺島しのぶも、時代劇が板についており、ピッタリの配役だったと思います。美人画、春画で名をはせた渓斎英泉役の髙橋海人も、必殺仕事人的な雰囲気ではありましたが、作風に見合ったキャラクター設定で、これはこれで合っていたように思えました。
肝心の応為役の長澤まさみについては、先にも述べたように美しすぎでした。それはそれで眼福にはなるものの、応為という人物を本当に伝えられているのか、イマイチしっくり来なかったのが、良きにつけ悪しきにつけ本作の特長だったと言えるのではと感じました。
そんな訳で、本作の評価は★3.4とします。
まあ 期待しなければ 得るものは大きい ただこういう作品は観客ハイレベルだから
長澤まさみ作品で そこで観客動員力のアクセント的なポイントは相違ない
安心感がある。これは大事。永瀬正敏さんはじめ安定。
でも 俺が 感心したのは
① 江戸時代 庶民 闇 電気のない時代の 質感 たぶん照明の人とかの勝利
②その質感が ルノワールの❓絵のように ザラついた質感で いい感じだ 昭和の技術では出せない
③有料パンフ🈶にも載ってるが 主人公 葛飾応為の 絵🖼️の近代絵画的な開明感が素晴らしい
そして
『えっ 😵💫 コレから たったの@200年しか経過してないの❗️』という分かり切った事実を
体感した。
ストーリー自体は ぶつ切り感 が あり 個人的
だけど 時代劇ではないので それが『江戸時代の人の人生だよなぁ』と思わせる
監督脚本は兼任だけども 原作は 古い方と 比較的最近の杉浦さん
で W原作 エエトコ取り と思うから 結構 説得力のある 個々のエピソード
ぶつ切りだけども 濃厚に抽出されている と個人的に感じた。
江戸の長屋 足の踏み場すら無い 今で言えばゴミ屋敷がリアル
コレ 現代が舞台の映画でも ただゴミ袋だけで小綺麗な場合が多いから 小汚さが良かった。
有料パンフ🈶は 主人公の 主要な 残されてる絵画🖼️ &北斎年表あり
俺みたいな 小さな文系事務職は すぐ根拠 エビデンス求める悪い癖あるから
それに応える有能パンフでしたよ。
でも 『歴史は勉強じゃ無い 体感だ❗️』と 葛飾北斎氏 1760〜1849の人生最後半作品
主人公 応為 さんは 映画字幕にもあるように 特定できない ミステリアス人物。
観客 全員精鋭だよ 咳一つ無し そこは チェ・ソーマンとは違うね(チェ・ソーマンはそれはそれで良い👍)
音楽が良い
タイトルなし(ネタバレ)
長澤まさみさん、永瀬正敏さんが圧巻でした
鬼才の父の元での応為の強さ弱さ才能を自然に描いていた
その2人に何気に寄り添う髙橋海人くん演じる善次郎も明るいながらもまた重いものを持って絵師として生きて行く葛藤
寄り添う劇伴も心地良く江戸時代の音にもこだわりがあった
まるでドキュメントを観ているかのようなリアリティーがありました
時代にタイムスリップ出来ます
数々北斎の物語がありますが、こういうタッチの映画とても好きです
葛飾園 お~い 仙人茶 Oi Sennincha
葛飾北斎の弟子であり娘でもあるお栄、後に北斎から名付けられる葛飾応為の半生の話。
目と腕が肥えている為に夫の描く絵にケチをつけたことで離縁となり、北斎の元へと出戻る事になるお栄だったが…。
ストーリーの起伏は感じず、ただただお栄の日常と何十年に渡り北斎を支えてきたお栄の半生って感じですかね。
冒頭から入る夫の描く絵をディスる入りは嫌いじゃないけれど、私の求めてたのはお栄こと葛飾応為の絵を描く姿、口だけじゃなく腕も間違いなくあるよ、みたいな絵を描く描写をもっと観たかったってのが正直な感想。
それでも寝落ちせずに観れたのは長澤まさみさん、永瀬正敏さんの画力ですかね、きっと。雨に打たれ濡れ髪に濡れた着物姿のお栄演じた長澤まさみさんに色気を感じた。
視点はどこにある?
タイトルからすれば北斎娘お栄(葛飾応為)が主人公のはずですが、見終わると父北斎の写ってる時間の方が多かった気がする。
初っぱなから怒鳴り合い・罵り合いのシーンが多く、何をそんなに怒ってるの?と思う。
杉浦日向子の「百日紅」のエピソードとかがいろいろ出てくるのだが、エピソードの羅列というか、ぶつ切りというか、脈絡なく並んでいるだけという感じがする。
監督は北斎父娘の何を描こうとしたのか?
「北斎漫画」(緒形拳主演)は北斎の若いときから晩年までを順当に描く正統派の伝記映画だった。「Miss Hokusai」は「百日紅」のアニメ化で江戸の美しさを表現していた。また、宮崎あおい主演のテレビドラマは応為の絵に焦点をあてていた。
本作は何に視点を置こうとしたのかわからない。父娘関係か、絵師としての応為か、女性としてのお栄か‥。
「百日紅」では善次郎(渓斎英泉)が活躍するが、この映画の善次郎はただいるだけ。津軽の殿サマの依頼を邪険に断っていたのに、なぜか描きに行く。仙人になる薬とか、何のためにこういうシーンを入れたのかわからない。
芸術と日常
応為の作品というよりは
家族との絆、芸術と日常を描いた感じ。
善次郎が吉原帰りに応為と会うシーンは
艶やか。終始、長澤まさみは破天荒だが
色気があった。
あの内に秘めてる物が
『吉原格子之図』『夜桜美人図』
に反映されてるのだろう。
絵は綺麗で素敵。
絵を描き、引っ越しをして、絵を描く
とストーリーの山場がなかった。
北斎と応為の不思議な親子関係。
だらしなく、足りない物も分かりつつ
リスペクトして理解をする二人の半生を
垣間見る映画でした。
長澤まさみさんの
ちんまりしちゃたね
硬軟隔たりなく 自由闊達に役をこなし 演者として魅力ある長澤まさみ主演。
国宝で短い出番ながら 強い印象を残し 近年円熟味を増してきた永瀬正敏助演。
とあらば 観ねばなるまい。いな拝観させていただきます。
勢い込んだものの なんか違う
お栄 北斎両者の生き方、才能は 常人の範疇をはるかに超えているはずなのに 画面からそれがあふれてこない。
登場人物が会話する場面は 必ずふたりきり
複数人いたとしても なんか存在感なし。
津軽屋敷に乗り込んだ時や町中をお栄がさまよう場面などに 変なちんまり観が如実にあふれてくるのだ。これはいったい どうしたことだ。
同じ原作を扱った原恵一監督アニメの方が キャラクターがもっと活き活きしていたようにおもう
この上ない配役でのぞんでいるだけに もったいない。
父娘関係
食べて寝て、画く、生きた先にあるもののお話
ある物語のように劇的に何が起こって解決して良かったねでもなく、恋心も描かれてはいるけれどそれがドキドキキュンキュンするものでもなく、北斎と応為がすごかったと言うお話でもないく、父と娘が生きたお話。
観る人が何を求めてるかで満足度が変わりそうだけど、好き嫌いが分かれるのはわかった上でこのスタイルな所が私は好き。
生きることに固執してないようで固執した、不器用な2人の物語が火や水、生活の音、虫の声や季節の移り変わりによってさらに鮮明鮮烈に感じさせて、受け取りかたによっては重くなりがちなお話を髙橋海人が演じる善次郎や映画の音楽が観る人との間を繋いでくれている感じがした。
わっとしたりわかりやすい盛り上がりがあるわけではないけれど、静かに涙が出てきて観終わったあと思い返してみると2人が愛おしく感じるお話だった。
先日3度目の鑑賞。
変わらず特に後半に掛けて引き込まれる映画。映像に映ってない部分の音が他の映画と比べると多い気がしてそこが自分中で余白を想像したくなる。
淡々と描かれてる気もするけど、北斎と言えばな引っ越しのシーンが定期的に挟まれてそれがコミカルにも感じられて北斎が可愛く見えたり、ぶっきらぼうな中に確かにお互いを思う気持ちや深い愛情が見えて、いつの時代も親は残していくことになるであろう子に幸せでいて欲しいと願うものなのだろうし、子は子で自分を思ってくれる親の側にいつまでも居たいと思うものだなと自分とお栄を重ねて涙が止まらなかった。
善次郎が亡くなったことを表すシーンも心に残るポイントだった。実際に亡くなるシーンを髙橋海人が演じてるわけではないのだけどそれまでの彼の演技があったからこそ、多くは描かれてない善次郎の人生を想像した。
観た人のお守りのような映画に、と言っていた言葉が一度目の鑑賞時には正直わからなかったのだけど三度観た今、この作品のことをきっと忘れないだろうなと思った。
作り手の滑稽さと悲哀
アーティスト親子の可笑しさ、苦しさ、一言でいうと作り手の性を丁寧に描いた映画でした。
見方は少し難しいのかなと思ったけど、芸術家の変態性というか歪さみたいなものを、愛を持った目で見てあげて欲しいなと。
細部までこだわったであろう装飾品や小道具、ただ、
江戸の町の再現はなかなか難しいなと。
好き嫌い分かれると思いますが、間違い無く力作です
音楽が心地よかったです
全てが中途半端?
全288件中、221~240件目を表示








