「応為の何を描こうとしたの?」おーい、応為 K2さんの映画レビュー(感想・評価)
応為の何を描こうとしたの?
テレビ時代劇にあるような、綺麗に作り込まれた江戸ではなく、全編を通して、実際の一般庶民の江戸風俗を描こうとしているような絵面が良かったです
しかし、物語の方は...というと。多分、応為という人の記録や情報が絶対的に少ないんでしょうね。だから、掘り下げようがない、が実態か
「おーい、応為」というダジャレが先にあって、つまり、北斎の娘で、この世紀の天才芸術家の比較的近くにいた人物を軸に作れないかな〜、が制作動機か
だとしても、「おーい、」の時点で主語が北斎になっている矛盾。だったら、応為というフィルターを通した北斎の生き様とか凄みを掘り下げてもいいようなものですが、そういう感じもさほどなかった
しょっちゅう引っ越ししてたとか、相当な変りモンだったらしい、とかよく語られている北斎の印象の上っ面をなぞったシーンの連続、って感じで最後まで...。
永瀬正敏さん演じる葛飾北斎の存在感が凄いんで、やっぱり主役は北斎だったな、の印象が残りました。後半は老いの演技、というより特殊メイクスゴ!!て印象もあります
情報がないならないで(勝手に決めつけてスイマセン)、映画なんだから応為のキャラを勝手に創造してエンタメに徹したらいいんじゃない?って思いましたけど
ぶっきらぼうで言動が男勝り、とか、何だか火事の炎に惹かれる、とか、(描くことが天才的だったか定かでないが)絵を見る目だけ(?)は父親譲り、とか、キャラ設定らしいものがあるんですが、それ以上の"定かでない"部分を定かでないままにされているので、結局、何を描いているのか分からない、ということになってしまったように思います
視聴者に考える余白を残す、というのも映画の作り方としてアリだと思いますが、作り手側の描きたいものがしっかり描かれた上で、「あとは勝手に感じてください」ならさておき、主人公の人物像が定まっていない、絵師として残した作品の凄さが描かれていない、ではちょっと困るなぁ
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