「「どうすんだよ、ワシが死んだら」「どうもしねえよ」」おーい、応為 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
「どうすんだよ、ワシが死んだら」「どうもしねえよ」
いわゆる、お栄。北斎の娘にして、さすがその血を継ぐ者としての絵の技量。そこに興味があった。ほぼ記録もなく、北斎の人生を追いかけるように進行していくのだろうとは思っていた。
が。いやあ、つまらなかった。
北斎の堅物ぶりはいいとして、なんだか描き方が偏りすぎてるように思えた。数多くいた弟子も数人しか登場せず、北斎漫画も出てこなければ、引っ越し魔の癖も薄い。富士にこだわるのは画のほうで、江戸の外へ行くなら晩年の小布施だろう。
そして肝心の主人公である応為。常にイライラしっぱなしで全然魅力が伝わってこない。なまじビジュアルがいいものだから、小憎らしくも見えない。年月とともに北斎があれだけ老化していくのに、八百比丘尼じゃあるまいし見た目がずっと変わらない。最後に少しばかり白髪が増えてもそれがどうしたの範囲。
そして一番ダレた気分にさせられたのが、エキストラ。周りのエキストラの動きが全部単調な動き(歩く方向、歩くスピード、ただ歩いているだけ)なもので、むしろそれが違和感。それを背景に長澤まさみが叫んでも、作り物感が際立っただけだった。
大友良英の音楽と、凝った美術はいい。ただそれだけしか鑑賞の価値を見出せなかった。
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