「長澤まさみオンステージ」おーい、応為 LukeRacewalkerさんの映画レビュー(感想・評価)
長澤まさみオンステージ
北斎の娘にして弟子であり、一般的には無名だった凄腕の女絵師という強烈な事実は、否応なしに映画的なキャラクターのインスピレーションを掻き立てられた。
しかし、この映画は完全に長澤まさみトリビュートの当て書きなんだろうなぁ。
彼女の存在感は、いくらべらんめぇの乱暴な口調であっても、隠しようもなく爽やか過ぎる。
天才絵師の身内でありながら女性ゆえに表舞台には出られなかっただろうという日陰の屈折を滲ませるには、長澤まさみではないのかもしれない。
若い頃の安藤サクラのイメージかなぁ・・・あるいは今なら、岸井ゆきのなのか?
ともあれ、永瀬正敏は本当に適役だった。良い俳優ですな。それで全体が締まった感じがする。
ただしこちらも、北斎の名声と狂気、栄華と没落をもっと描いても良いかもしれない。そのためには版元やタニマチや大衆といったキャラクターの拡がりが必要だったように思う。ちょっと出てきたのは、襖絵を依頼した某藩だけだもの。
製作として。全体に青みがかった撮影と色彩調整は好ましい。1週間たって振り返っても、その青みの中に浮かぶ永瀬の老いた顔と長澤の白い顔が印象深く甦る。
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