罪人たちのレビュー・感想・評価
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黒人差別の歴史に、音楽映画と虐殺ホラーが同居するバランスの妙
黒人への差別と搾取に満ちた怒りの塊を、良質な音楽と過激な暴力で包んだエンタメ作品でした。
禁酒法の時代を舞台に、元ギャングだった黒人の双子が故郷で一獲千金を狙って、黒人向けの歌と踊りの酒場(ダンスホール)を作ったところ、次々に襲撃者が!
やってくるのが、夜は吸血鬼(しかもかなりゾンビ寄り)、昼は白人至上主義 のKKKどもで、掃いて捨てるほど湧き出て、いつまでも黒人を殺しに追いかけてくるのは両者とも同質という、痛烈な皮肉。
理不尽な暴力に対抗する手段は、家族や友人との絆であり、自分が死んでも一族の幼い人間を守るという高潔な魂だという姿を描いた、重厚な社会的メッセージを持つアクション・サバイバル・ホラー作品でした。
全編に流れるリズム&ブルースのかっこよい“音楽映画”と、チープな大虐殺ホラーが並行して存在するバランスの妙。
しかも、70mmフィルムカメラによって撮影され、1.43:1と2.76:1 の2つのIMAXが生かされた画面構成の巧みさ。
満足度が高かったです。
どこから来たのよ
1932年ミシシッピの田舎町でシカゴから帰ってきた双子のギャングが開いた酒場がヴァイオレンスな事態に陥る話。
教会にやって来たギターのネックを持った傷だらけの若者から始まって行くけれど、ん〜よく見えないフラッシュでの匂わせはあまり好みじゃ…。
1日前、製材所を買ったスモーク&スタックにサミーが加わり、酒場の準備をみせていく流れはかなり面白く期待値が高まったけれど、先住民に追われる男の行で、えっ!?そういうヤツ(´・ω・`)
そうとわかってもそれなりには面白かったけれど、ここのあらすじ紹介に書かれている情報以外知らずに観賞したし、このタイトルだからそういうのじゃないのを期待してしまったし、前半がとても良かったからこれじゃない感でモヤモヤだった。
盛りこみすぎでは?
全米で脅威の大ヒットということで気になっておりましたが、あらすじを読んでも要領を得ないので劇場へ。
一言でまとめるとタイトル通り盛り込みすぎだと思う。
天才的なブルースの才能をもつ少年サミーの歌はある種シャーマンの神おろしの如き効果を発して、彼の歌で人々の持つルーツ、そしてそれぞれの神や体内に脈々と流れるリズムがクラブの一つの場所に集結して踊り狂う。まさに文字通り血湧き肉踊る深部の高まりを感じる場面だった。個人的に出色はその場面がピークで、その後の吸血鬼との戦いのくだりは、えーと、これって何の話だったっけ?と首をかしげるような思いにずっととらわれていた。
でもエンディング近くで『最高に幸せだったあの時』な一面の綿花畑のど真ん中の一本道を、抜けるような青空へ向けて車が走っていく、あの場面は清々しくいい画面。ここで終わってほしかった。その後は私としては蛇足でした。
スコットランドルーツとの対比も興味深くはあれど。吸血鬼とのバトルは目新しいわけでもなく、ホラーとしてはたいして怖くもなく。ブードゥー魔術は雀の涙程度の効果でしかなく。ずっと生き続ける悲哀も羨望もない。愛情ある相手との対決ならばゾンビものでもっといいものありそうだ。
KKKをやっつけるから人種差別への対抗としての爽快さはあるんだろう。
ギルティではなくわざわざシンだから、キリスト教の原罪の意味合いでの罪人たちのはず。教えに背く罪?そもそもの存在の罪?兄弟での争い?それとも異教?各人が抱える足かせからの解放、自由への渇望が当時の時代背景からは罪ということ?とにかくあれもこれもと要素を入れ込みすぎて結局焦点が絞れてないのでは。
もしも黒人主軸だからと米国で評価が高いのであれば、ポリコレの弊害じゃないのだろうか…。
でも作品全編に流れるブルースはどれもよくって音楽に☆加算です。
ホラー映画史上最高傑作の一本‼️
何なんだ、この格調が高すぎるサバイバル・ホラーは‼️1930年代。ミシシッピ州の故郷の田舎町に戻ってきた双子の兄弟スモークとスタックは、いとこのサミーや仲間とともに当時禁止されていた酒や音楽を振るまう酒場 "クラブ・ジューク" をオープンする。しかしオープン初日の夜、三人の招かれざる客たちが現れる。彼らは血に飢えたヴァンパイアだった・・・‼️こう書くと流行のB級ホラー臭がプンプンするのですが、これはキューブリック監督の「シャイニング」と並ぶ、トンデモない名作ホラーだと思います‼️根底にあるのは当時の人種問題‼️ "クラブ・ジューク" が白人禁制だったり、劇中に度々登場するKKK、登場人物たちが差別を受けてきたバックグラウンド、ブードゥー教に精通したスモークの妻アニー、実はアフリカ系の血を引いていて当時としては法律違反だったヘイリー・スタインフェルドのメアリーのキャラクターなどなど‼️ "クラブ・ジューク" はそんな彼らの自由への象徴であり、サミーが牧師である父から禁じられたギターを演奏するのも自由への渇望ですよね‼️そんな彼らの自由への欲望の障壁としてヴァンパイアたちが現れ、ここでvsヴァンパイアの凄絶なノンストップ・サバイバル・アクションが展開‼️ヴァンパイアだらけのバーを訪問してしまう「フロム・ダスク・ティル・ドーン」の逆パターンですね‼️このシーンは阿鼻叫喚の凄まじいバトルが展開するんですけど、木の杭やニンニク漬けで抵抗する、昔ながらのヴァンパイア退治の戦法が好感持てるし、ヴァンパイアのビジュアルもモンスターもどきではなく、赤く光る眼と鋭い牙のみのシンプルなもので、そのシンプルさゆえに恐怖感が倍増してます‼️殺戮シーンもグロさは控え目にしてあるのもイイですね‼️スモークがKKKもどきの連中と繰り広げる凄まじい銃撃戦も強烈な見せ場です‼️そして今作を単なるヴァンパイア・ホラーとは一線を画すものとしているのは、ストーリーはもちろんのこと、全編にあふれてる素晴らしき音楽たち‼️サミーをはじめ、黒人たちが演奏するブルースはもちろん、ヴァンパイアの三人が奏でるアイルランド・ミュージックをはじめとするカントリー・ミュージックもホントに心酔させられる‼️ラスト、現代で年老いたサミーによるライブ・シーンもホントに胸が熱くなります‼️そんな年老いたサミーをスタックとメアリーが訪ねるシーンも印象的ですね‼️ヴァンパイアとなっても、昔の仲間だったサミーの生き方を長年尊重してきたスタックとメアリーの優しさや心情、哀愁が垣間見れる素晴らしいラスト・シーンだし、現代のファッションに身を包んだスタックとメアリーもとてつもなくイカしてる‼️一人二役を演じたマイケル・B・ジョーダンは見事だし、わがゴヒイキであるヘイリー・スタインフェルドもホントに魅力的‼️そんなジョーダンと名コンビであるライアン・クーグラー監督も、アフリカ系アメリカ人たちの深い文化や歴史をヴァンパイア・ホラーと融合させた手腕はホントに素晴らしいと思います‼️早くも名匠の域に達している‼️思えば「ロッキー」のスピリットをスタローン以上に解っていたのはクーグラー監督だったし、今や一大フランチャイズであるMCUで、アカデミー作品賞ノミネートの実績があるのもクーグラー監督だった‼️これからもクーグラー監督の発表する作品にはチョー期待です‼️
KKKの爪痕
罪人たち Sinners
禁酒法が廃止された頃の話で、
アメリカの南北問題は、今日もバンパイアとして残りつづけ、あの忌まわしいKKKの爪痕を忘れずにブルース魂を歌い続けるブルーズシンガーの話…
シカゴから故郷ミシシッピに逃げて来た悪の双子兄弟がダンスホールを開店し、その当日、黒人だけでブルースで乱舞爆発するダンスバーに、
アメリカンワルツのC&W演奏者が水を指す。
資金不足のためC&Wに出演料を取ってライブ参加のディールを白い黒人女性が買って出る!
怪し、この店の不動産売買方法が胡散臭い。
建物床だけが綺麗に清掃洗われている?
この敷地内で好きなことができる?と言うことはしてきた?誰が?何を?
事件があるなら地元民なら知らない訳がない?
何かが起きることは間違いないが、なんだろう?
まあ、黒人だけの飲酒ライブは、正に乱舞狂乱だなぁ
全身がバネの様にはち切れている。
男女交際も情熱的だ。
こんな黒人天国に、白人のカントリー&ウエスタンはない!!!
えっ、ここからホラー?
KKKは、実話だったのかなぁ?
エンディングロール後も見て下さい。
(^ν^)
罪人たち
Sinners
「ブラックパンサー」「クリード チャンプを継ぐ男」のライアン・クーグラー監督が、これまでの長編作品でも数多くタッグを組んできたマイケル・B・ジョーダンを主演に迎えて描いたサバイバルスリラー。
1930年代、信仰深い人々が暮らすアメリカ南部の田舎町。
双子の兄弟スモークとスタックは、かつての故郷であるこの地で一獲千金を狙い、当時禁止されていた酒や音楽を振る舞うダンスホールを開店する。
オープン初日の夜、欲望が渦巻く宴に多くの客が熱狂するが、招かれざる者たちの出現により事態は一変。
ダンスホールは理不尽な絶望に飲み込まれ、人知を超えた者たちの狂乱の夜が幕を開ける。
主人公の双子をジョーダンが1人2役で演じ、
「バンブルビー」のヘイリー・スタインフェルド、「フェラーリ」のジャック・オコンネル、「ザ・ファイブ・ブラッズ」のデルロイ・リンドーが共演。
クーグラー監督が脚本・製作も務め、スタッフにも美術デザイナーのハンナ・ビークラー、作曲家のルドウィグ・ゴランソン、衣装デザイナーのルース・ E・カーターら「ブラックパンサー」のチームが再結集した。
罪人たち
Sinners
2025/アメリカ
人種問題のドラマか、一晩中歌い踊る狂乱か、吸血鬼か 各要素がバラバラでうまく絡み合っていない
1930年代アメリカ南部の田舎町を舞台に、人種問題の人間ドラマを背景に、吸血鬼との一晩の抗争を描く。
IMAXフルサイズでの鑑賞で、久々にいくつかのシーンでは天井から床までの映像を味わえました。ところどころだけなのが残念。
終映後は、めずらしく拍手が起きましたが、自分としては物足らず。
人間ドラマ部分も、吸血鬼部分も、そのミックスは面白いが、両方中途半端に終わった感じ。
人種問題ではきっと数々の示唆があるに違いないのですが、不勉強でよくわからず。
公開翌日昼にもかかわらず、早くもパンフレットが売り切れのため、背景の解説を読むこともできず。
グランドシネマサンシャイン池袋では良く有ることですが。
その中で、ダンスが盛り上がり、時間と空間の境界線を超越したエネルギーが巻き起こるところがみどころ。
この部分について、予告編から、一晩中踊り明かす話ことを中心にした話と思い込んでおりましたが、この狂乱のダンスは1曲か数曲のみで、あとは「よくある」吸血鬼との攻防戦になってしまうのが残念でした。(「遊星からの物体X」的な要素もありつつ。)
吸血鬼であることに人種の偏見による対立をうまく組み合わせれば、面白くなってたかもしれない。
中盤で、すぐに黒人たちも吸血鬼になってしまって、人種問題が関係なくなると、単なるB級ホラーになってしまい、その頃には、歌とダンスも関係なくなってしまうのが、非常に残念。
吸血鬼に引っ張られすぎたうえに、その描写も平板で、人間ドラマ部分がおざなりになってしまうのが本当に残念でした。
登場人物の中でも、外見は普通の白人と変わらない女性について、もっと掘り下げるとかあっても良かったとも思います。
『罪人たち』というタイトルの意味も不明。
タイトルなし(ネタバレ)
※ネタバレになるかもしれない感想
『フロム・ダスク・ティル・ドーン』と比較してる感想もみるけど、序盤から出てくるのであそこまで唐突ではありません
というかあの頃はSNSもなく映画情報も月イチの雑誌くらいしかなかったのでネタバレとかも中々喰らわなかったですが(浜村淳氏からくらいですか)、『フロム・ダスク〜』もあまりの展開にホントに劇場でビックリしたものですがああいう体験は最近では難しいですね。
IMAXで上映中に画角変わることにそれほど効果あるかなと感じることも多いのだけど、この映画は結構効果的だなと思いましたし、音楽的な面からもIMAXがお勧めです、と言いたいけど上映館少なすぎですよね。
悪魔とのダンスは、至高の映画館体験
時として生まれながらに真の音楽を鳴らす者がいて、その音楽は生と死のベールを曖昧にしてしまう…。そんなふうにあらゆるジャンルもカルチャーも清濁併せ呑む、唯一無二のカタルシス。黒人の歴史を語る上で欠かすことのできないブルースから今日まで脈々と続く音楽の広がり、ルドウィグ・ゴランソンによるスコアと素晴らしいサントラの充実っぷり。べらぼうに素晴らしい、IMAX撮影も美術も圧巻。
タイトルの「罪人」とは?吸血鬼による噛み跡と、銃痕の類似性。人種差別が憚られることなく社会的に全肯定されていた白人至上主義全盛の時代に、真面目に生きていたにも関わらず犯してもいない"罪"で投獄や罰を受ける者もいれば、また生き延びるために"罪"を犯さざるを得なかった者たちへ。傷跡を抱えて生きていく。根底に流れる形で、頭でっかちや説教臭くなく壮大なテーマを自然と織り込んでいて、本当にいい映画・語り口ってこういうことだよなと感心した。籠城モノにKKK、吸血鬼に噛まれて仲間になっていく図式もまた示唆的・表象的。そして性の話も。タランティーノもジャンルを更新するけど、タラちゃんの場合はあくまで多くの作品をレファレンス(出典)する。
王道から意表をつく真のオリジナリティ。安易なジャンプスケアに頼らない巧みな演出=本物の恐怖にビクビクと怯えて、血みどろなスリルライドに興奮して、歴史ありな胸打つドラマに泣いて、ガッツポーズしたかと思えばグッとエモくなる…。日が沈むまでの数時間は、人生で最高の一日だった。日中パートが決して本題に入るまでの助走や説明パートに成り下がることなく、それ自体にしっかりと意味も血も通っているのを感じて、鑑賞後の余韻に繋がる厚みをもたらしている。
ライアン・クーグラーの盟友で若き盟友な、本作でも二の腕(上腕二頭筋?)仕上がりすぎ腕たくまし太すぎなマイケル・B・ジョーダンの一人二役な双子は青と赤。冷静キャラとお調子キャラの対比は一見分かりやすいものの、そこはクーグラー流石に面白い。近年よく見る複数の画角がシーンやカット毎に入り混じるカット破りな構成すらも。クーグラー✕黒人の歴史。あくまでエンタメとして、それも半端なく面白いものとして昇華してしまう完全オリジナル作品で、ライアン・クーグラーの天才っぷりを遺憾無く感じられるの大傑作!トム・クルーズ絶賛も納得のシアター・エクスペリエンスはIMAXでの鑑賞推奨だ!
P.S. 公開ラインナップ最強すぎる今週末の中でも頭一つ抜けて楽しみにしていた本作、やっと観られた!!
キレイなフロムダスクティルドーン
前半と後半の振り幅が凄い
日本人にはハードルが高い。しかし強い力も感じる、観ておくべき映画
IMAXで鑑賞
あまり情報を入れずに見て、鑑賞後解説コラムや英語版wikiで少し復習しました。
1930年代の南部の設定であるが、当時は歴史的・文化的にアンデッドに対する伝承があったらしい。そういえばゲーム「レッド・デッド・リデンプション」は西部ではあるがDLCでアンデッドが出てきた。ただゾンビゲームが人気だからでもなかったんですね。
前半は’RDR’と同じような世界観で親しみが湧く。
中盤、一瞬の違和感が。(っといってもガッツリ分かるが…)
そして後半、問題の展開となる。
インド映画ではたまに全く作風が変わったりするが、それは解決編みたいなものだけど。この映画はかつて私が見て最も驚いた「フロム・ダスク・ティル・ドーン」のような想像すらできない展開。
前半は黒人社会の生活とそこに根付くブルース音楽や酒場を丁寧に描き、後半一気にヴァンパイヤのみの展開へと変貌する。ただヴァンパイアも一定のルールがあるようで、家の外で音楽を奏でていて中まで襲って来ない。しかし中の人が発してしまった招き入れる言葉で一斉に襲いかかる。なんか憎みきれない。
エンドクレジットで現代に飛ぶ。
日本人には実体験がないアメリカの時代背景などは正確には理解できないが、強く何かを感じさせる、力がある映画だと思う。ただ誰が「罪人たち」なのかは分からなかった。
フロムダスクティルドーン、のりだね。
まさかの方向へ…
アンコールまである極上LIVE
部分的にIMAXのシーン、音と画面の広さに、
今流行りの没頭を堪能できる映画館で観るべきで、それを選択できてしあわせ。
女、酒、音楽、ダンス、リズミカルな銃撃戦、あと男
オマケで吸血鬼
いちばん好きなとこ 家族一つになった三人
あと最後のアンコール、ギターとうた声
今のところ今季ベストワン
B級 バンパイヤ映画にブルースくっつけて何 言いたいの?
黒人観客が びっくりするくらい多くて、雰囲気熱く 席が狭く感じた。
でかい黒人がとなりで スヌーズチックあり、、それも落ち着かない。
その窮屈感の中で 観たからか、しっくり頭に入らない内容。
ここでの諸評が高かったから観たのに なんだかハズされた気分。
やっぱりひねりの通好みの映画館 シャンテ上映だからね。
長い長いエンドロールの後 サミーのブルース1曲聴けるから、
頭にきて早めに 席立たないで
ネ。
抜けるような青空とえもいわれぬ開放感
ラストに訪れるえもいわれぬ開放感が凄い!
被写界深度を浅くして少しでも動けばピントがずれてしまう撮影を多用し、かつ映像にはない音を加えて観る者の集中力を登場人物にフォーカスさせているのは、このラストに訪れる開放感の為といっても過言ではない程でした。
ただでさえピントを合わせるのが難しい撮影なのに移動する人物に焦点を合わせたままカメラも一緒に移動したり、老人の語りに引き摺り込む為に会話の内容と同じ音楽や音響を被せてきたりして、没入感や臨場感をいやが上にも盛り上げておりました。
周囲はピントがボケていたり、音は語りに集中させる為だけに存在するのでますます外側に意識が向かなくなり閉塞感が高まります。
プリーチャー・ボーイがギターを弾いて、過去と未来が混在するシーンではこの撮影方法と音響効果を存分に活用して、とんでもないワンカットを生み出しているので要チェックです。
外界から閉ざされた映像がひたすら続いた後、抜けるような青い空が広がり、物語は終幕へと向かいます。
奥さんと再会した男、父親と邂逅した息子、それぞれに訪れる自由。
それは、日々の労働(奴隷)からの解放、父親の束縛(信仰)からの解放、そして死なない身体(魂)からの解放を意味しておりました。
ホラー要素を使いながらも監督が描きたい事を明確にした素晴らしい作品でした。
どう楽しめばよいのか?わからない。
ブルースとホラーの融合。IMAX推奨
数少ないIMAXスクリーンに足を運んで正解。ブルースは体で感じる音楽ということを思い出させてくれるミュージックシーンの数々。
ブルース酒場のダンスシーンは圧倒的。ブルースにとどまらず、タンゴあり、京劇風ありといつの間にかワールドワイドなエンターテイメントショーを目の当たりにする。
「未来とも融合」というナレーションともにヒップホップダンスやラップも登場して、まさに古今東西のダンスショー。
音楽好きの自分にとって、この時点で料金回収。
ホラーパートへの入りもいい。アメリカ南部のブルースに対して、アイルランド民謡を歌うヴァンパイヤ。吸血鬼の生みの親であるブラム・ストーカーもアイルランド生まれ。
獲物である人間から招かれないと家に入れないという古典的な設定が、この作品では効果的に演出されている。
言葉巧みに招き入れようと策を弄するヴァンパイヤに対して冷静に対処する人間側。あの言葉で結界が壊れるとは、面白い。決戦への号砲みたい。
地平線が見える綿花畑を一直線の進む道。助手席でブルースを歌うプリーチャー・ボーイ。
ここのショットがたまらない。
音楽もホラーも大好物の自分にとって、ヨダレがでる傑作でございます。
そういえば吸血鬼もヨダレを出してた。
魂のミシシッピーブルース
何の、どういう話だよw
「こんな感じの映画を撮りたかった」から始まった感じがすごく伝わる。
タランティーノやロドリゲス、というか「フロムダスクティルドーン」に極上のブルースとダンスとエロをぶっ込んだちゃんぽんみたいな作品。
30年代のアメリカ南部の故郷に戻ってきた元ギャングの双子兄弟の再生物語の前半と、ホラーテイストの後半とで全く別物になるが、全編にブルースを一本串で通す様な見せ方だったらもっと良かったのにと個人的には思った。
プリーチャーボーイことサミー役のマイルズ・ケイトンの本職はミュージシャンで演技が初めてだったらしいが、最高のパフォーマンスで歌い始めた時点で一気に心を鷲掴まれたほど。
バディ・ガイの演奏はブルースの成り立ちを想像させるほどリアルで儚く、でも強い意志や誇りの様なものを感じさせ、サントラ購入は確定的。
ホラーパートも自分には十分面白かったが、構成というか唐突に展開が違うテゴリーに変わってしまうことに拒否反応を起こす人も多かった様だが、大人の遊園地みたいで自分は凄く楽しめた。
ニンニクの漬け汁は効くがニンニク食べても効果なしというのは勉強になった。
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