「庭には二羽以上鶏がいる」ストレンジ・ダーリン うぐいすさんの映画レビュー(感想・評価)
庭には二羽以上鶏がいる
本国では昨年の夏に公開された作品で、その評判を基に各媒体の紹介文や宣伝文が書かれているのだが、映画紹介サイトのイントロダクション含め、読まずに観た方が良いタイプの作品だと感じた。
ネタバレを踏まなくとも、『シリアルキラー』『男女の出会いが予測不能な展開へ』『6章構成の時系列シャッフル』とまで言われれば、何パターンかは展開の予想がついてしまう。
本編の冒頭でも丁寧に『シリアルキラー』『6章構成』と説明されるのだが、個人的にはそれすら不要だと思った。驚きを作っているのは時系列シャッフルだけであり、ミステリー要素は殆どないので、シャッフルを説明されずにあれこれと観察と考察をしながら観た方が楽しめたように思う。
本国のスタジオではシャッフルすら不評だったらしく、時系列順に編集し直されそうになったらしい。配信時代のスリラーにトリッキーな要素は不要ということなのだろうか。
ストーリー以外では、くどいくらいに赤を使う色彩や、アメリカあるあるがシュールなほどたっぷり詰め込まれたキャラクター造形も面白い。アメリカンニューシネマや懐かしのスリラー作品を感じさせる作風は、刺さる人には深く刺さりそうである。
自分にとっては宣伝文句がスポイラーになってしまい、残念だった。あまりに隠すと宣伝にならないので難しいところだが。面白そうな作品を探して観に行くというよりも、ザッピングしてたまたま観始めるくらいの緩ーい出会いが一番楽しめそうな作品だった。
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