「今年のベストワン級の映画だった。見た目B級映画だが、その実…。是非、予備知識なしで見てほしい映画。」ストレンジ・ダーリン mac-inさんの映画レビュー(感想・評価)
今年のベストワン級の映画だった。見た目B級映画だが、その実…。是非、予備知識なしで見てほしい映画。
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いやはや凄い!
今年のベストワン級の映画だった。見た目B級映画だが、その実…。
是非、予備知識なしで見てほしい映画。
(もう二度とこの映画のファーストコンタクトが味わえないと思うと寂しい!)
<以下ネタバレを含みます>
70年代風な感傷的でメロ〜な歌に乗せて赤い囚人服風の姿の女性が草原を逃げてゆくシーンから始まる(この音楽センスも侮れない)。なんとも形容し難い雰囲気から始まり、チャプターごとに描いてゆくが、そのチャプターの順番が入れ子になっている。これがミソで、見る側の先を読もうする思考をことごとく裏切ってゆく。
シリアルキラー事件が多発しているとの話が最初に字幕で出る。で、シリアルキラーの話だと思いながら、見進めると、ことごとくミスリードする伏線が張り巡らされ…。
結局、シリアルキラーだったのは襲われていると思った女性で、シリアルキラーだと思った男性は、警官だった‥。
謎解きとともに、シリアルキラーの女性の二面性のある抑え難い暴力的な衝動に、いつの間にか感情移入してゆく。ラストは、その悪魔的で二重人格的な性格は、まるで人間の原罪的な業(ごう)にも思え、その「死に様」に涙してしまう。人間のなんとも捉え難い「切なさ」さえ感じさせる。
わざわざ35mmフィルム撮影をして、今時のデジタル映像と違い、明暗や色の諧調も柔らかい。70年代風の映像。赤みや青みの強い画面作り。作風は、ハネケを思わせる。なかなか人間観察が深淵。
ラストにシリアルキラーに涙を流すとは思わなかった。
傑作と言わざるを得ない作品。
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