「カラクリ以上のものはなかった」ストレンジ・ダーリン 島田庵さんの映画レビュー(感想・評価)
カラクリ以上のものはなかった
冒頭、
連続殺人がナンタラ、っていうテロップが流れた後、
運転席に座る口ひげを生やした中年の男性に、
助手席から女性の声で
「あなたはシリアルキラーなの?」
というカット。
その後、
その男性が上半身裸で、
おそらくベッドで馬乗りになっているであろう短いカット
(腰から下は映ってない)をはさんだと思ったら、
いきなり「第3章」。
これだけでもう、ミスリードを狙ってることが分かる。
女性の運転する赤いフォードを
男性の乗る黒くてゴツい車が追いかけ、
途中でライフルを取り出して撃つ。
赤いフォードは横転して停止。
負傷した女性が這い出して森へ逃げ、
最後は森の中の民家にたどり着く……
一見、男性がシリアルキラーのように見えるが、
これは逆に違いない。
男性の撃ち方が堂に入っていて、プロにしか見えないし。
続いて、4をとばして「第5章」。
民家を捜索する男性。
その仕方が、どう見ても軍か警察。
しかも、家の主の死体が転がってる。
ここで、確定。
ここまで20分ぐらいだったか。
* * *
あとは、
1章→4章→2章→6章→エピローグ
と進むにつれ、小ネタを含めて種明かし。
でもまあ、それだけ。
そうなった背景が描かれるわけでもなく、
感情移入したくなるような要素も一切ないので、
単なるクイズの答え合わせでしかない。
残念。
そして、
ひと安心かと思ったら……
というのもまあ、お約束というか。
ラスト、さらにもう一捻りあるかと思ったら、
そこまでしつこくはなくて、これまた残念。
――拳銃をもう1丁持ってたはずなので、
運転手を撃って車が事故って炎上、
みたいなラストを予想したんだけど
(ありきたり?w)
* * *
それにしても、
森の民家に住む終末論者の老夫婦の、日曜の朝食が、
異常なほど多量のバター、これまた大量のシロップとホイップクリームをのせた目玉焼きとパンケーキとソーセージ(と若干の苺)で、
しかもその作り方を真上から、料理教室よろしく撮ってたのは、
いったい何だったんだろう。
あと、
エレキベース?の爆音で
ゴォーンという子供騙しで虚仮威しの効果音を多用するのはご勘弁願いたい。
