「どこか一ヶ所に物語が血を流す場面を」見はらし世代 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
どこか一ヶ所に物語が血を流す場面を
建築家として名を成す一方で仕事にかまけて家庭を捨てた男と、そんな父を許せない息子とのすれ違いを静かに描く物語です。
台詞を抑制的にし、説明的な展開を排しているのは監督の狙いなのでしょうが、どこかもどかしさが残りました。剃刀の切り傷の様に血がサッと滲み出すラインが物語のどこかに一ヶ所欲しかったです。父の職業をランドスケープ・デザイナーという胡散臭い名で描いているのだから、ホームレスの人々を追い出して作り上げた渋谷・宮下パークのあの嘘くさく無機質な街並みにはせめてもう一歩斬り込んで欲しかったな。
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