「若い感性が生み出した新しい東京物語」見はらし世代 アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
若い感性が生み出した新しい東京物語
私もバリバリ仕事をしていた頃は家族旅行中でもパソコンを開いたし電話にも出ていた。明らかに家族の行事より仕事を優先していた。今となっては全く馬鹿らしいが当時はそれが正しいと思っていた。幸い家族に見捨てられることもなく今を生きれているので良かったが、もう少し私が横暴だったら遠藤憲一のようになっていただろう。
それにしてもこの若い監督、団塚唯我は何とも言えない深い感受性を持ってるなぁ、。と感心させられる。20代後半、大学中退で映画美学校を出たとはいえ、社会経験はまだほんの少しだろうし、自分自身の家族もまだできてないだろうに人生50年位生きてきて初めて気づくような家族の成り立ちと崩壊、再生がおぼつかない葛藤をものの見事に映像で表現した。
車内のテレビで放映されてた取り替えても何度も落ちてくる電球の不思議ニュースが後半ぴったりとハマり奇跡が起きる。10年も時空を彷徨ってたからなのか井川遥はひたすら夫に優しい。「またね」と言われ去っていく妻の後ろ姿を見た後、号泣する遠藤憲一。失ったものは戻ってはこないことを突きつけられるシーンだった。
MIYASHITA PARKは監督の父がトータルデザインを手がけたとの事。堂々と物語の中心の場所に据えた理由も分かったが、感性は遺伝するものだと思った。昨年、同じように若手の監督として称賛た「HAPPYEND」の空音央は坂本龍一の息子。親が偉大なのは大変だろうが、少しだけ羨ましい。
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