劇場公開日 2025年10月10日

「家族のやりなおし、を願うのはやっぱり父親」見はらし世代 chikuhouさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 家族のやりなおし、を願うのはやっぱり父親

2025年10月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

日本人だからなのか、家族を振り返らず仕事や酒・ギャンブルに没頭して、反省をするという父親像は、これまでもずいぶん描かれてきた  本編でもあったが、誰しも結婚をするときは理想の家族・家庭像を描いているはずなのに、子どもの成長期にその理想が損なわれてしまい、あとになって取り返しのつかない現実に反省する父親  しかし放置された子どもの方は本作でもそうだったが、そんな父親を侮蔑・軽蔑しているだけで、取り返せない時間を反省している父親の姿は滑稽だったりもする  成功しようが、失敗しようが家族を捨てた父親であるはずなのに、その再生を願う気持ちが息子・漣に残っているのが観る者にとって儚い希望を感じる  父親役の遠藤憲一さんは私と同世代で、37年前「メロドラマ」という作品(にっかつがポルノをやめて、一般映画ロッポニカを立ち上げた第一作)に、チョイ役で出ていた  あの強面を生かしたチンピラ役だったが、本作のように強面にもかかわらず弱さを持つ父親役などに最近よく起用されている  この遠藤さんをはじめ、活躍をしている中高年の男性には、他人事ではない気持ちを抱かさせる作品なのではないだろうか
成功や繁栄の裏には、多くの犠牲があり、それが家族だけではなくその街で暮らしていた住民やホームレス、人々の優しさも壊してきた渋谷という誰でもが知っていて、ついこの間完成した新しいその街を描きながら、そこに家族の問題が昔からずっと横たわっているのが、悲しくも人間らしいと思った
(10月23日 なんばパークスシネマにて鑑賞)

chikuhou
PR U-NEXTなら
映画チケットがいつでも1,500円!

詳細は遷移先をご確認ください。