愚か者の身分のレビュー・感想・評価
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じんわりと胸に落ちてくる。。。
ジワジワくる作品でした。
今回は北村匠海さんが、梶谷(綾野剛さん)からもらったものをそのままマモル(鈴木さん)にgive している。
と映画鑑賞前の舞台挨拶で仰っていたので、 【彼らの繋がり】をポイントに鑑賞しました。
歌舞伎町のあのキラキラとしたネオンは物理的には明るいのにどこか闇があり、その中で笑っているマモルとタクヤがどうにも切なく見える。
その光と闇の対比が不気味でリアルな感じがしました。
タクヤ、マモル、梶谷の3人のことを知れば知るほど彼らの繋がりがいかに互いを支えているかを思い知らされる。その繋がりはすぐに切れてしまいそうな細い糸のようだけど残念ながらそれこそが彼らの人生そのもので、それが一番大事な繋がりにも見えるし、それしかないからそこにしがみついているように見える。
この繋がりは彼らにとってとても繊細で奇跡のようなものなのだろうなと感じました。
製作陣が作品を通して写した世界はおそらく存在していてそんな人生を生きている人たちがいるというのも鑑賞中に思い起こされました。実際の歌舞伎での撮影のため、役者陣もこの闇で実際に生きる人々も目の当たりにしていると思います。
結果、ただの悪足掻きに終わるかも知れないけれど、どうか1日でも長く、この少しの笑顔が続けばいいなと思います。
愚か者の身分
地獄の3日間は闇を抜ける為の通過儀礼
身寄りのない男たちから戸籍売買を行う闇ビジネスを稼業とする3人の若者が辿る、ある3日間。
メイン舞台が歌舞伎町の映画だと、個人的には『新宿インシデント』が印象強いが、どうしてもダーティなイメージがある。以前に比べて夜でも幾分歩きやすくはなったが、手軽に気軽に金を稼ぎたいという若者が吸い寄せられるように集い、中には違法常套な仕事にありつく。戸籍売買の実態、経済格差に伴う貧困層は若者にも及んでいるという日本の実情が生々しく活写されている。PG-12レイティングでは軽いのでは…というショッキングな顛末も含め、3人が直面する3日間は地獄ながらも、それまで染めてきた犯罪のツケを払うとともに、歌舞伎町=闇ビジネスを抜ける為の通過儀礼なのだ。
鑑賞後に原作を読んだが、原作では主要人物5人のところを、映画では3人に絞っている。この取捨選択を良しとするか否かは人それぞれだろうけど、少なくとも観やすさという点では奏功していると思う。あと、映画を観て感じた疑問点は原作である程度補完できた。
キャストに関しては、邦画やドラマを全くと言っていいほど観ないので、3人を演じた俳優も名前でしか知らなかったが総じて良い役者だと思う。とりわけ綾野剛は存在が松田優作とダブった。あとどうしても脇役に目が行ってしまうが、田邊和也や松浦祐也のイイ顔ぶりが最高。
目を背けたくなるほどリアルで、人間味溢れるドラマ!
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