音楽サロンのレビュー・感想・評価
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見事な終活
サタジット・レイの長編第4作。急激な社会変動を背景に、没落貴族の衰退と芸術への執着を描き、その芸術性と映像美で世界の多くの映画製作者に影響を与えた。
1920年代のインド・ベンガル地方。貴族で地主のビッションボル・ラエは急激な社会変動により没落し経済的に困窮していたが、かつての栄光にすがりつくように音楽と舞踊に大金を使う日々を続けていた。変わりゆく時代に取り残されてしまったラエは、隣人の新興実業家ガングリに対抗心を燃やし、妻や子供を亡くした後、残りの財産が300ルピーになっても、最後の誇りをかけて自らの音楽サロンで盛大な演奏会を開き・・・そんな話。
没落貴族の威厳と哀愁の行動だが、見栄っ張りや隣人への対抗心がやめられないし、死ぬまで変わらないんだろうな、と観てた。
滅びの美学らしいが、見事な終活だなぁ、と思った。
タイトルなし(ネタバレ)
隣家の新興成金が幅を利かすのが癪に障る没落貴族(チャビ・ビスワシュ)。
体面を維持するために自宅のサロンでしばしば開く音楽会。
元日の日に隣家に対抗して開いた会で悲劇が起こる・・・
といった物語。
数度描かれる音楽会が素晴らしい。
特に最後の会は踊りもあり、圧巻。
没落貴族の豪華絢爛ぶりはヴィスコンティを思い出す。
没落貴族、最終的には死んじゃうんだけど、こりゃ、幸せな死に様。
やはり、サタジット・レイ、真面目な楽天家だなぁ、と思う。
苦労知らずの良い処のお坊ちゃん、みたいな。
(知らんけど)
3本鑑賞した中では、本作が最上位。
踊れ、踊れ!見せ物になって踊れ!
サタジットレイのレトロスペクティブが始まった。なんかとても不思議な字面。「うた」トリロジーにしか触れてなかったし、それが全てだと思ってもいたから。
初日に鑑賞しに行ったが、やはりトリロジーの時にも感じていた、レイの作品は見応えのあるシーンとそうでないシーンがなんとも同じくらいな割合でいるから割と見づらいということだ。何がそうさせているのかは、あまり解読できていないが、とにかくそうなのだ。
スタッフクレジットが浮かび上がるシャンデリアのファーストショット◎
そこからは、女が富豪の前で踊る長いシーンまで◎、と感じるところがなかった。
なぜなんだろうか…と思うが、それを解読するには見なければいけないのでそれはそれで過酷である作業だ…
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