「独りはイヤ…」MELT メルト オパーリンブルーさんの映画レビュー(感想・評価)
独りはイヤ…
【ちょっとネタバレです、何ひとつ予備知識を入れたくない方は、読まない方が良いかも】
エヴァ13歳
同級生の男の子2人と一緒につるんで、周りには“三銃士”と呼ばれてる
そのうちの1人の男の子のお兄さんが不慮の事故で亡くなっていて、この夏休みはちょっとギクシャクしてる
彼の両親は長男を亡くした哀しみのせいか、最近不仲で、母親が家を出ていき、彼はとてもさびしそう…
最近、男の子たちは、わたしにはわからない遊びを始めている
男の子同士で意味ありげな目配せや、“お前にはわからないよ”という態度で、わたしはハブられて、ちょっと哀しい…
わたしの両親は、事あるごとにちょっとした言い合いを始めて、次第に大喧嘩に発展する
ママは隠れてワインのボトルを空けて、昼間もリビングの長椅子で寝ている
パパは優しいけれど、心ここにあらずというふうで、さびしい…
わたしと妹は一生懸命、家で明るくふるまっている…すくそこにある家族の危機に気づかないような顔で
誰もが わたしを 受け止めてくれない 独りはイヤ…
ガリガリと心を削られるような、長い長い退屈な夏休みの日々
子どもの夏休みの顛末を描いた「イノセンツ」というノルウェー映画もあった(これも良かった)
こちらも”夏の終わらない退屈さ”が悲劇を招く
どちらも全編に緊張感が満ち、最後まで漂う
隙のない映像が続き、悲劇になりそうな不安(+わずかな期待)とで、目が離せなかった
少女時代のエヴァを演じたローザ・マーチャントがとても良かった
嬉しい、哀しい、媚びる、期待、怒り、残念、どれも台詞がなくても十分に伝わる
大人のエヴァは小池栄子に似てた
(ピエール瀧という他の方のレビューもあったけど)
台詞もほとんど無くて、サイコな感じがこれまた良い
少女時代は夏の設定
大人時代は冬、そんな対比も良かった