「意味が分からないと不快感しか残らない作品」エディントンへようこそ aossさんの映画レビュー(感想・評価)
意味が分からないと不快感しか残らない作品
この映画には共感も、救いも、カタルシスもない。
だが、当時のアメリカの空気感、登場人物が実際に起こしそうな行動、そしてカウボーイ映画という枠組み。そのすべてが一つの射程に収まっている、極めて珍しい作品だ。おそらく、この三要素のどれか一つにでも興味が持てない瞬間、この映画は退屈になってしまうだろう。
監督は『ミッドサマー』のアリ・アスターで、「この物語には本物の悪党が登場する」と語っている。本作には多様な価値観を持つ人物が多数登場し、誰か一人を単純に悪と断定できない構造になっているが、私はその中でも自己肥大に注目したい。情報源の真偽を確認しないまま、自分の判断こそが正しいと信じ切ってしまう現代の病だ。ネタバレは避けるが、ある主人公の決定的な判断は、まさにそれと重なって見えた。それこそが「本当の悪」なのではないか、監督からそう問いかけられている感覚が鑑賞中ずっと消えなかった。
だからこそ、物語をどう着地させるのかが気になり、途中から一瞬も目を離せなかった。この感覚を共有できる人には強く刺さるが、そうでない人には、そもそも何を巡って争っている映画なのかすら分かりにくいだろう。万人向けではない。本心では、自分は尖った感性を持っていると思っている人に勧めたい作品だ。
補足として、ジョージ・フロイド事件以降、暴動とともに、公園の中で小さな銃撃・射殺が多発した。この事件は間違いなく本作に影響を与えていると思う。
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