「息苦しくするのは病なのか社会なのか」エディントンへようこそ 蒼色さんの映画レビュー(感想・評価)
息苦しくするのは病なのか社会なのか
アリ・アスターは変な監督ながら何をしでかすかわからないハラハラはあるからすごく好きでついつい毎作見てしまう...
今作はアリ・アスターにしてはかなり開けたテーマ性だなと期待して鑑賞、しかしやっぱり手癖のように不穏と嫌な感じがずっと支配している...この不快感を味わいに行っているという意味だと個人的には結構好き
ロックダウンでお互いをマスクの有無でいがみ合うようになってしまったのは今考えるとかなり病的な時代であったななんて
しかしそこからどんどんBLMムーブメントに波及、これは当時ニュースで見ていても小さな町での暴動がおおきくうねり個人的な問題に社会的な問題にと雁字搦めになっていくという...
アリ監督がどういう意図をしてるかまではわからないにしろ社会的な差別であったりフェアではかったことに対して嫌だよねって雰囲気を載せてくるのは個人的にとてもそうだよね~って感じで共感が持てた、これが例えば過去作だったら極めて個人的な感情に基づく不快感や不気味を拡大されてぶつけられるものだから今回はとても飲み込みがしやすかった...というかこういう事あったよねってリアリティラインが曖昧だったからかこの時代がおかしかったのではっておもえてしまう
ある意味日本人だからこそそこまでなっていたのかなってこの曖昧さが生まれるのは美味しい視点だったんじゃないかなと思う、おかげで割と没入ができた
あまり理解できないラインとして、あんな小さな町...もといニューメキシコの辺境でもBLM運動をやることをやることの是非はおいておくにしてもBLM運動の人々がインディアンから領土を奪ったことにすら言及を行っているのはちょっとずれというか、登場人物の活動家達が問題を安易に混同させているように見れてなんだかなって気分
でもこの色々なテーマを混同させること自体SNSでめちゃくちゃ見るところだなって感じたのでアリ監督もしかしてSNSも嫌いだったりするかなと思いながら見てた、そしてその感覚だったら自分にもわかるぞって感じてた
ただ個人間でのいざこざが混ざりだすとこれがもう流石にエグいくらいに複雑になってくると...
陰謀論にハマる母とつきあわされる妻と思ったら妻も薄ら趣味の悪い創作をしとるし別の陰謀論にハマるし、BLMムーブに女の子目当てで始めたと思ったらその子を強奪してったりその腹いせで彼氏疑惑のある警官にあてつけたり...もうめちゃくちゃ
物語が進行するにつれてホアフェニがどんどんコロナだろって症状を顕示していくわけだけど後半まで行くとコロナとかどうでも良くなっている、むしろここまでガチガチに絡まってしまった思惑たちがコロナの症状のように文字通り思考を鈍らせ息をしづらくしているのではという風に見えた
もちろん自業自得だが社会的な要因のコロナにBLMに陰謀論にと抱えていたものと個人の抱える選挙戦と妻と犯罪との複雑にするすべてがが重症化として視覚化されたのかなって
そ~してやっぱり語りたい、すべてが重くのしかかったあとに訪れたガンアクションフェーズは妙な開放感を持っていてとても良かった
そもそものガンアクションが銃火と着弾の偏差がしっかり分けられてて他の映画じゃなかなか見ないような緊張感があってとってもいい見どころになっている、元々の映画全体を支配する不気味で鬱屈とした雰囲気とマッチして銃撃戦に異様なひりつきと緊張感が生み出されているのが良かった
解放があるって意味だと過去作もベクトルは違えど強い締付けをしたあとの解放はしてきた監督だとは思うけど今回はいい解放の仕方でとても好印象
ただラスト部分は手癖でてますよ~!って言いたくなる超絶嫌な母な部分がでててまだ囚われているな監督って感じも見えておもろかった、お前ボーで語りきったわけじゃなかったんだなって...
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