劇場公開日 2025年12月12日

「テーマ性てんこ盛りでやや散漫気味だったかも」エディントンへようこそ 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 テーマ性てんこ盛りでやや散漫気味だったかも

2025年12月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「ミッドサマー」、「ボーはおそれている」のアリ・アスター監督が、「ボーはおそれている」に続いてホアキン・フェニックスを主役に向かえた作品でした。コロナ禍が始まった直後の2020年5月、アメリカはニューメキシコ州の小さな町・エディントンで巻き起こる騒動を描いていました。コロナ禍におけるマスク着用の是非をはじめ、SNSで繰り広げられる炎上騒動、陰謀論、人種差別とそれに連なるBLM運動、古くからアメリカ社会に根深く言い伝えられる少女へのレイプ問題、大資本によるデータセンター建設の是非などなど、アメリカを中心とする現代世界が抱える諸問題をごった煮的にぶっこんだお話でした。

過去のアリ・アスター監督作品と比べると、「ミッドサマー」は完全に創作ホラーという感じであり、「ボーはおそれている」は病を抱える主人公の妄想と捉えれば現実のお話とは言えるものの、自分からはちょっと距離がある作品という印象だったのに対して、本作は完全に自分が住んでいる現実社会の延長のお話なので、逆に冷めた目で観てしまった感じでした。

また、今年5月頃にたて続けに上映された各国のコロナ物(「未完成の映画」(舞台は中国)、「季節はこのまま」(舞台はフランス)、「フロントライン」(舞台は日本))と比べると、コロナは端緒に過ぎない点が特徴でした。前述の通り、SNSの炎上とか陰謀論、人種差別なども盛り込んでいた結果、ちょっとテーマ性が散漫になってしまった印象もありました。

そんな枠組みの作品でしたが、主役のホアキン・フェニックスの演技は相変わらず素晴らしく、また彼の妻役だったエマ・ストーンの病がかった演技も流石であり、役者の演技は満足の行くものでした。

そんな訳で、本作の評価は★3.8とします。

鶏
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