劇場公開日 2025年12月12日

「どちらかというと〝疲れる〟映画」エディントンへようこそ グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 どちらかというと〝疲れる〟映画

2025年12月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

それなりにエグい問題作なのだろう、という感じは受けるのだが、なぜか刺さってこない。
KKKだとか差別主義者に対する強烈な皮肉が効いている映画であることもよく分かるし(実はそう見せかけてまったく違うことを言っている可能性もあるのだろうか)、情報拡散は発信者や受け取る側の感性でどうにでも解釈できて、しかも強い思い込みにまで繋がることの怖さも分かる。
でも、自分にとってはそこまで止まりで、鑑賞後、時間が経ってもあまり印象が変わらない。

では、もし実際にKKKに属していたり、傾倒している人たちが見たらどう受け止めるのだろう。誰かからの影響であったり、ネット情報からの受け売りで、自分はとてつもない勘違いで差別主義者になってしまったのではないだろうか、と自分の思想を客観的に振り返ったり、懐疑的になるきっかけになるのだろうか。

日本でも今、中国に対する敵愾心のようなものを煽る風潮が強まっているが、無自覚に乗っかってしまい、「そうだそうだ、もっとやれ!」みたいに短絡的に、冷静さを失っている人が増えているような気がして、なんとなく嫌な感じの怖さを覚える。
無自覚なままでも、ある種の高揚感は快楽中枢にも影響をあたえるので、結果的に暴力的な行動を抑制できなくなることがある(小学生が始めは仲良く遊んでいるのに、興奮してきて、おもちゃの取り合いのあげく手が出てしまうことがあるのと本質的には変わらない)。

こんなふうに理屈っぽく考えなければ、テーマらしきものも浮かんてこないので、どちらかというと疲れる映画なのだと思う。

グレシャムの法則
PR U-NEXTなら
映画チケットがいつでも1,500円!

詳細は遷移先をご確認ください。