「コロナ禍で加速した情報分断化には、ある意図が仕込まれたアルゴリズムの仕業なのかもしれません(適当)」エディントンへようこそ Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
コロナ禍で加速した情報分断化には、ある意図が仕込まれたアルゴリズムの仕業なのかもしれません(適当)
2025.12.13 字幕 イオンシネマ久御山
2025年のアメリカ映画(148分、PG12)
コロナ禍のとある町を舞台に分断によって悲劇が起こる様子を描いたパニック映画
監督&脚本はアリ・アスター
原題は『Eddington』で映画の舞台の都市の名前
物語は、エディントン市の郊外にあるサンタルーペ郡とセビーヤ郡の郡境付近にて、精神的におかしくなっている浮浪者のロッジ(クリフストン・コリンズ・ジュニア)の独り言が描かれて始まる
ロッジはそのままセビーヤ郡のバーに出向き、そこで暴れたために保安官のジョー・クロス(ホアキン・フェニックス)が呼ばれていた
バーのオーナーはエディントン市の市長テッド・ガルシア(ペドロ・パスカル)で、彼はコロナ禍で外出禁止にも関わらず、評議員のフィル(ヴィク・ブロウダー)と政治顧問のウォーレン(キング・オルバ)と会議をしていた
自分が決めたロックダウンを無視し、店に人を入れているのにロッジを締め出しているテッドに文句を言うものの、ロッジはドアを突破して暴れ出してしまう
仕方なくジョーはロッジを取り押さえるのだが、その動画は拡散され、警察の横暴だと批判されることになった
ジョーには引きこもりがちの妻ルイーズ(エマ・ワトソン)がいて、彼女の母ドーン(ディアドラ・オコネル)も一緒に住んでいた
ルイーズは人形アーティストとして、感覚の赴くままに作品を作り出し、それをネットで売るなどとしていた
ルイーズは過去にトラウマを抱えており、人を極端に怖がっていて、外出することはほとんどなかった
物語は、コロナ禍ゆえに様々な制約がある中で、町の将来を憂うジョーが市長選に出馬する様子が描かれていく
保安官事務所の部下のガイ(ルーク・グリメス)とマイケル(マイケル・ワード)を選挙補佐官に任命して、独自に選挙活動を展開していく
テッドも負けじと選挙戦を展開していくことになり、明らかにジョーが劣勢のまま、時間だけが過ぎていったのである
映画は、前半にて町の背後で蔓延っている状況を説明し、ルイーズの喪失によって自我を失ったジョーが崩壊していく後半へと続いていく
アンティファのテロリストが暗躍したり、MAGA(Make America Great Again)が登場したり、「KKK」連呼があったりと、アメリカの今がこれでもかと凝縮されている
活動家として参加している意識高い系のサラ(Amelie Hoeferle)の愛読書がアンジェラ・デイヴィス(マルクス主義の活動家)だったり、陰謀論でよく使われる「ゲマトリア(旧約聖書の暗号解読に使われたりする手法)」「ファウチによって銀行が停止(コロナ対策で殺害予告された免疫学者)」なども盛りだくさんの内容となっていた
ある意味、アメリカのニュースが好きでたくさん見ている人向けの内容になっていて、パンフレットで解説が必要な案件のように思う
公開2日目でもまだ未入荷だったために買えなかったが、わからないことが多い人は買った方が良いタイプの映画なのだろう
個人的には小ネタ満載で面白かったが、悪ノリが過ぎるかなあと思ってしまった
いずれにせよ、コロナ禍で生まれた分断の正体が「情報分断だった」と言う内容で、昨今のSNS(映画ではTikTokがやたら登場する)などにある「おすすめアルゴリズム」の弊害を描いていると思う
偏った情報が多く寄せられる中で、それがあたかも正しいと思い込み、かつその情報に埋もれていくものの、結局は軽めの理論武装でしかなく、行動には至らないと言うところはリアルだった
そんな中でも主義主張と「己の考える絶対的正義」においてテロを敢行するのが主人公であり、それが現代のアメリカの闇でもあると思う
言論者を始末し、それが陰謀論として消化されることがわかった上での行動なのだが、それすらも軽めであっさりと本格的なテロリズムにはなす術がないと言うのも興味深いところだろう
そう言った意味において、アメリカならではの映画だったのかな、と感じた
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