「現実世界こそ究極の悪夢。アリ・アスター健在。」エディントンへようこそ Anarchistさんの映画レビュー(感想・評価)
現実世界こそ究極の悪夢。アリ・アスター健在。
「ヘレディタリー」から「ボーはおそれている」までの3作品で一旦は終わって新しいジャンルに手を出すのかなと思っていた。。。
だが、悪夢は。。。まだ終わらない。笑
アリ・アスター健在。「ヘレディタリー」以降嫌っていたがここまで徹底して同じテーマを姿を変えて描いていく姿勢に逆に好感を持つようになってきた。
コロナウィルスが流行った2020年のアメリカの田舎町エディントンを舞台にSNS、陰謀論、BLM、権力争いで町がパニックと殺戮の場と化す様子をダークユーモアと社会風刺たっぷりに描く今作。今までオカルトやカルトや精神世界でのアブノーマルなテーマを描いてきたアリ・アスター監督が「現実ネタにしよっ!」と手を出したテーマがコロナウィルスだった。
「ボーはおそれている」から短期間で作り上げたこともあってそろそろやばいぐらいの駄作がくるかもしれないと身構えていた。プロモーションも控えめだったし。でも安心して。いつも通りのアリ・アスターだよ。笑
アリ・アスターの沼は毎回考察しがいがある。
表向きにはコロナウィルスがテーマだがやはり今回も「支配」、「洗脳」と「母」、「女性」がテーマだ。登場人物一人一人が自分だけの歪んだ現実の中を彷徨っている。
ただ、精神疾患を持つ者を弄ってくるあたりだけはいまだに好きにはなれない。アリ・アスターの映画はどこか黒魔術に似ている。見たらハマってしまう、一緒に地獄行きの闇のグループ儀式に付き合わされているのだ。気づかないで何となく見るとつまらねーってなってしまう。よく見てほしい。最初から全て流れがちゃんと決まっている、いつものやつだ今回の全てを操っている一見見えない恐怖とは何なのか?映画を通して描かれるある会社に注目してほしい。
やたらと太陽がクローズアップされているのも気持ち悪いと思った。町の名前が「エディントン」というのもどうもおかしい。というのも架空の町だが。。。何故?その名前なのか?調べた結果やっぱり全てちゃんと意味があった。どうもアーサー・エディントンという世界的に有名な天文学者から名付けた臭いのだ。Wikipediaで彼の経歴について調べてみると実に面白い。
私達が日頃から決めつけている「現実」や「正義」とは何なのか?もしかして私達は見えない大きな力に操られている、カルトの一員にされているのかもしれない。アリ・アスターは常に不安を抱えて生きてきたのだと思う。彼の中にある疑問や不安は今回そのまま我々にも投げかけられた。
このパラノイア的世界観に迷い込もう。全く悪趣味な監督だよほんと。「ボーは恐れている」から短期間でここまで面白い作品作るとは。すごいエネルギーだ。
鑑賞は複数回をおすすめする。
ところで日本の皆さん?あなたたちも変な個人崇拝に走ったりSNSで「正義」振り翳して暴れたりしてませんよね?ちゃんと周りが見えてますか?大丈夫ですか?アメリカの悪口言う前に少し考えてみましょう。おっと。誰か来たようだ。
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