「今のアメリカ人をよく表している」エディントンへようこそ コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
今のアメリカ人をよく表している
東京国際映画祭2025のジャパン・プレミア上映で拝見。
描いた物語としては、「アメリカの小さな田舎町に、データセンターが出来るまでの話」でしかない。
アリ・アスター監督にしては珍しく概念的な怖さではなく、小さな事象の組み合わせで歪みが雪だるまみたいに大きくなっていく「現実」の怖さをテーマにして居て面白かった。
出てくる登場人物が全て自分本位で、どこか壊れているのは、アリ・アスター作品のお約束。
主人公の保安官ジョー(ホワキン)が、まさに「アメリカ白人のいいところと悪いところ詰め合わせ(主に馬鹿)」ってキャラ。
コロナ禍でマスクをつけられない老人を庇う優しさと、意地になってマスクを外し続けてコロナに感染してしまう愚かさと、衝動が抑えられなくて市長親子を殺害してしまう短絡さと、普段は理性的に差別撲滅を口にしながら追い詰められると差別をするいう、絵にかいたような「感情による脊髄反射だけで何も考えてない脳筋馬鹿白人」。
"酷い目に遭って欲しいな、いつ遭うんだろう"というワクワクさMAX。
そして、物語の根幹を貫く、「事実とフェイクが入れ替わり、炎上の連鎖がおきたら、当事者を置いてきぼりにして、悪意は暴力として暴走する」というメッセージ。
めちゃくちゃ面白かったが、いわゆる「スッキリした」「怖かった」ではなく、「しみじみダメじゃん」って感じの後味の悪さが最高。
なので、これを面白いと言うことに抵抗を覚えるのもまた、アリ・アスター作品らしかった。
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