ザ・ザ・コルダのフェニキア計画のレビュー・感想・評価
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傑作!!
壮大な内輪ウケ映画。あんまり面白くありません。
まず「ザ・ザ」(英語表記でzsa zsa)から。これはやっぱりザ・ザ・ガボール。1917年ハンガリー生まれのハリウッド女優です。出演作品はほぼ忘れられ9回結婚したことが知られている。相手はトルコの政治家、イタリアの貴族、イギリスの服飾デザイナーと手当たり次第。その中にホテル王ヒルトンがいたので彼女はパリス・ヒルトンの大叔母にあたる。ハリウッドの性的放埒さというのはもちろんそれ以前からあったけどヨーロッパの社交界までリーチを伸ばしたのは彼女を嚆矢とする。(最大の成功者はグレース・ケリーだけど)
そして苗字の「コルダ」。こちらは「バクダッドの盗賊」とかをプロデュースしたアレクサンダーとゾルタンのコルダ兄弟を連想させる。この人たちもハンガリー出身。
つまりザ・ザ・コルダっていうネーミングは映画関係者の匂いが強くするのですね。
そういう観点から見れば、「フェニキア計画」っていうのも架空の国家の国土開発計画っていうことになっているものの、映画製作の隠喩であるのかもしれない。結局、この作品は出資者を探すことと資本を巡っての陰謀や争いの話だから。
制作費は出資者たちに全部負担させて自分は収益の5%を受け取る契約なんて如何にも山師映画プロデューサーっぽいじゃあないですか。考えてみればウェス・アンダーソンとロマン・コッポラのコンビの前作「アステロイド・シティ」もTVプログラムの制作現場のドタバタを描いていた。だから、この作品も実は映画の企画制作の内幕の見立てだと言い切ってよいと思っている。
でもなんかそのあたりが見え透いちゃって、かつお話自体もごちゃごちゃしているだけで面白くない。デル・トロにしてもトム・ハンクスにしてもスカーレット・ヨハンソンにしてもベネディクト・カンバーバッチにしても、彼や彼女が出演するからっていうことでお金を引っ張ってくることに利用だけされて、そのお金を監督が撮影や美術で好き放題使っているっている感じがします。
例えばリーズルが母親の形見っていうことで受け取る宝石のパイプだけどあれはダンヒルの特注品で何万ドルもするそうです。目の保養にはなるけどなんか役者があんまり楽しそうじゃないんでね。やっぱり役者がまず反応するのは脚本なので。これはちょっとないかもと思いました。
「アンダーソン・パレット」
『フェニキア計画』は、豪華キャストと大規模なセット・CGで描かれる風刺的な寓話劇です。主人公は大富豪として巨大公共事業を推し進めますが、暗殺未遂を経て「金から信仰へ」と向かうように見えます。ただし、それは純粋な宗教的回心ではなく、どこか「リベラル化した信仰」ともいえる曖昧なものに留まっているのが特徴です。
特に印象的なのは修道女の娘の存在です。最初は清貧と信仰を象徴するような姿で登場しますが、物語が進むにつれて世俗化し、タバコやナイフを手にし、ロザリオまでも宝飾的に変質させていきます。それでも彼女は信仰を完全に捨てることはなく、むしろ主人公の変化と対照的に描かれているようでした。
コメディタッチの場面もありましたが、劇場では笑いが起きることはほとんどなく、観客を「これは笑うべきか、考えるべきか」と揺さぶる不思議なトーンの映画でした。テーマ性を強く訴えるというより、社会風刺を抽象的に示す寓話として楽しむのがよいかもしれません。
鑑賞方法: ユナイテッド・シネマとしまえん スクリーン6
評価: 62点
ベニチオ・デル・トロが出演するので鑑賞
ベニチオ・デル・トロが好きで観に行きました。
なんとなく知的な映画風でもあり、お馬鹿な映画風でもあり、何を目指したい映画なのか正直ピンときませんでしたが、退屈せずに最後まで観ることができました。
冒頭の飛行機墜落シーン、これは期待できそう!と思いましたが、以降の展開は意外と単調に感じてしまい、ギリギリ好奇心が失われない程度に最後まで鑑賞。
キャストが意外と豪華で、トム・ハンクス、ベネディクト・カンバーバッチ、スカーレット・ヨハンソンが出演しており、驚きました。
それから、スタッフロールが横方向に流れるのは、外国映画では珍しかったです。
30年前、「007消されたライセンス」で初めて知ったベニチオ・デル・トロは、若くて気味の悪いチンピラの若造でしたが、いまや大物の風格ですね。時々残念な役柄も演じますが、「ボーダーライン」の彼は最高でした。10月3日公開の「ワン・バトル・アフター・アナザー」も、彼が出演するという理由だけで観に行く予定です。
まあ、いつもながらの……
ウェスだもの。
フレンチディスパッチ以降、俗世を離れまくって独自の世界観をひたすら突き進んでいくウェス・アンダーソン。
今作もウェス節満載のウェスファンにだけ向けたような作品。
フェニキアって何?とか、飛行機落ちて生きてんの?とか、ストーリーの突然の展開とか、そういう事に疑問を感じたら、負けです。
絵本を広げたような世界が広がり、いちいち小物が可愛い!色がステキ!衣裳が良い!画面構成が素晴らしい!って、ワンシーンワンシーン、いちいちステキ!と思うだけで十分。
ウェスって、そういう楽しみ方だから!
だから血だらけのベニチオ・デルトロとかが出てきても汚く無いのだ。
そして、私だけかもしれないけど、誰が出てるとか関係無く観れるのもウェスならでは。
たぶん、俳優さん個人というより、俳優さんの集め方すらウェス・アンダーソンだし、俳優を超えた世界を作り上げてしまうんだろうな。
ってここまで書くとめちゃくちゃウェス信者みたいだけど、やっぱり、グランドブダペストホテルとか、ムーンライズキングダムみたいなのを期待してしまうんですよ。
最近のウェスはちょっと自分の世界を押し付けすぎかも…って思ってしまうのも事実。
自作こそは、と思って観に行ってしまうウェス作品。次作も、期待してますよ〜笑
俗が聖
画面に映っているものすべて、動いているものすべてがデザインされていて、可愛らしい、美しいものしかない。
テンポが恐ろしく良く、会話、視線、身体の動き、画面の切り替えの度にとてつもなく気持ち良い。
そんな、ウェス・アンダーソンならばそれなりにやってくれるだろうという期待にしっかり応えてくれながら、今回は冒頭からスリルを煽るリズムと共にドタバタ劇が始まり、そのテンションがずっと下がらずワクワクが止まらない。
父は俗物だが憎めず、娘は生意気で可愛く、ボーイフレンド(未満)はギャップ萌え。
最高。
それを踏まえて、今まで観てきたウェス・アンダーソン作品の中で一番グッときて好きな作品と思いました。
それは俗にまみれたおじさんを主人公にしているからと思います。
かつての学校や家庭になじめなくて良い子ではないが無垢な少年、悩むナイーブな青年としてのウェス・アンダーソンではない、圧倒的な自分事感をこの主人公に感じたからでした。
俗物で嘘にまみれ誰からも好かれず誰にも信用おけない中年主人公が、良きことをすると決心して醜く格闘する様は滑稽ですがとてもチャーミングで愛おしいものでした。
序盤、主人公はどこかトランプ米国大統領を思わせる拝金主義と冷酷さがあり、それがこう変わっていくといいな、というアメリカ人のファンタジー願望もある(そしてそれは現実にはないであろうという皮肉も)のかなと、現代性も感じました。
他の登場人物結局誰も聖ではないのも良かったな。
修道女見習いの娘も気を抜くと脚を可愛く組んだり、濃くメイクしたり、お酒飲んだり、可愛い装飾品に可愛いと言ったり、とても素敵でした。
必ずまた観たい!
さすがの映える映像
気を抜くと置いてかれる
祈りにも似た🤞
バカ映画っぷりに拍車がかかってる
「フレンチ・ディスパッチ」あたりから、もうもろ出しでしたが、特にここ2作、コメディというか、ひたすらバカ映画な感じがバキバキ。立派な長編コント。何にも中身がない脚本で、本当に素晴らしい。
今作は会話のBPMが上がっていて浪速風味。とはいえシュール寄りなんで、好き嫌いはあるかもですけど、ずっと笑っとりました。
表現は相変わらず洗練されていて、いまだに唯一無二のスタイル。なのに中身は、なーんの意味もない与太話。見た目が洗練されてる感じが、逆にバカっぽさに拍車をかける感じで笑える。
ほぼ演技せずに突っ立ってた天使役の子供、味わい深いなぁ。中身のない映画ってなかなかないので、貴重ですよね。ありがたいです。
わかる/わからない、とかじゃなくて、中身スッカラカンだと思うので。面倒なことは気にせず。
映画監督として、とても素敵なステージに昇っていると思います。
面白さがわからず、合わなかった
架空の大独立国フェニキアで、6度の暗殺未遂を生き延びた大富豪ザ・ザ・コルダは、フェニキア全域におよぶインフラを整備する大プロジェクト・フェニキア計画を推進していた。成功すれば、今後150年にわたり毎年ザ・ザに膨大な利益が入ってくる予定。しかし妨害により、30年かけて練り上げてきた計画が危機に陥ってしまった。ザ・ザは資金調達のため、娘で相続人に指名した修道女リーズルとともに、フェニキア全土を横断する旅に出て・・・さてどうなる、という話。
コメディらしいので、多少面白いところもあったが、ほとんどよくわからなかった。
キリスト教に詳しければ理解できたのかもしれないが、あいにくそこはダメなので。
トム・ハンクス、スカーレット・ヨハンソン、ベネディクト・カンバーバッチら有名俳優も参加してたが、特に印象に残るほど活躍しなかったし。
合わなかった。
お金でもなく、宗教でもなく。
2025年。ウェス・アンダーソン監督。1950年代。ビジネスで大儲けしている大富豪は自家用飛行機が爆破されて九死に一生をえる。これまでなんども暗殺されかけている男は、修道院にいる娘を後継者として、最後の大事業「フェニキア計画」に乗り出すが、、、という話。
あいかわらずのおしゃれなビジュアルと素早い会話、独特の展開。事業の展開しか考えてない男だが、死にかけるたびに「あの世への入り口」のイメージが表れて、裁かれたり非難されたりして男がわが身を振り返っていく「クリスマスキャロル」みたい筋が一つ。娘(実は徐々に血縁がない可能性が出てくるが)と一緒の行動していくうちに愛情がはぐくまれたり、弟との骨肉のみにくい争いがあったり、いとことの腐れ縁的な愛情があったりという「家族の話」という筋が一つ。もうけすぎていることによって各国家や組織から敵対視されて、スパイを送り込まれたり、暗殺を狙われたりというヒッチコック的「スパイと裏切り」の筋が一つ。
中東らしき砂漠の地を安全に生活できる空間に変える一大プロジェクトを遂行するという映画のプロットは、現実の出口のない中東紛争に対して巨額資金を投入してリゾート地をつくって解決するというトランプの政策を想起してしまうが、主人公は最終的に自腹を切って富も財産も明け渡すこと、修道院の娘や神様が登場して宗教的な善や倫理の道を追求しながらも、最終的には宗教とは関係なく「自分の心の声を聞けば大抵間違えない」というところに落ち着いていること、などは大違い。
お金でもなく、宗教でもなく、結局はひとりひとりがちょっとずつ行動するしかない。しかし、そこに幸せがある。
ウェス・アンダーソンというジャンルの新作
オリジナルの世界観のこの監督の新作。スクリーンの色使い、映し出されるもののデザインのおしゃれさと、キャストの表情、全てが独特でオリジナル。もはや一つのカテゴリーと言っても過言ではない。本作も全てのデザインがおしゃれで、しかも今回は、絵画や小物などは高価な本物の美術品を借りて使用しているとか。
そういう意気込みがオリジナリティの所以。真面目にストーリーの細部への理解とかではなく、デザインの美しさや、スクリーンの中に表現されている世界観、ちょっとしたハチャメチャを楽しむ、本作もそんな作品。しっかり味のある名優達が喜んで参加している雰囲気が伝わってくる。まあ特別な楽しみ方が許される稀有な作品。日本の何だこりゃ、タローマンに通じる自由な芸術の楽しみ方のようなものを感じたりする。
なんか微妙
日本橋TOHOシネマズにて鑑賞。
俳優陣は粒ぞろい、映像美も申し分なし。
テンポも良く、ストーリーもわかりやすい。
なのに、なぜか心が踊らない。どうにもメリハリに欠けるのだ。
構成は、いくつかのブロックが連なっている作り。
群像劇というほど多層的でもなく、かといって一本筋のドラマでもない。
同じような展開が何度も繰り返され、観ているうちに既視感がじわじわと襲ってくる。
例えるならば、
①吉野家「ねぎだく牛丼」
②松屋「キムチ牛めし」
③すき家「高菜明太牛丼」
④なか卯「牛すき丼」
これを連続で食わされている感じ。
どれも好きだし、どれも美味いが、全部同じかと。
せめて2番目は「カレー牛」にしてくれ。
最後は「親子丼」で締めてくれ。
映画としてはもう少し味変が欲しかった。
ベニチオおぢ好きには
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