劇場公開日 2025年9月19日

「WAは森田芳光以来の衝撃!」ザ・ザ・コルダのフェニキア計画 たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 WAは森田芳光以来の衝撃!

2025年10月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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ウェス・アンダーソン(WA)作品は初めてで、キネ旬で特集を組んでくれたことに感謝したい。映画館から戻って配信で「グランド・ブダペスト・ホテル」を観てそのあまりにも個性的な表現手法に遅ればせながら衝撃を受けた。人物の切り返しバストショットを正面から捉えるのは小津安二郎チックだけれど、飛行機や列車の通路を挟んで隣座席に座った二人や並んだベッド上でのそもそも向かい合っていない二人の会話が独特で、イマジナリーラインの真上にカメラを据えて単純に180度回れ右して撮っている・・互いに上下そっぽを向いてしゃべり時々首を回して観客の方を向いてしゃべることで疎遠さとあやういドライな親密さが絶妙に醸し出されるのだ。基本的にWA作品はちょい昔を舞台にした人間関係コメディ映画が多いと思われ、たくさんの兄弟や遺産相続が定番で描かれる。今回は1950年代の仮想国家フェニキアだけれども、古風な時代の欧州のどこかで誰も実際には見ていない世界で繰り広げられるコメディは、ミニチュアを大胆に使った大きな嘘を押し通しても違和感なく許される所以。横移動やトラックアップ・バックが多用されるが、流行りの手持ちステディカムを排し三脚を据えたレールドリーに徹している姿勢に感銘を受ける。今作の主人公は常に敵から命を狙われている山師と言ってさしつかえない実業家のザ・ザ・コルダ(ベニチオ・デル・トロ)で、疎遠だった修道女の娘リーズル(ミア・スレアプレトン)とモノポリーゲームのように資金調達や鉄道などのインフラ獲得を目的とした旅を続ける。行く先々で出会うのもまともでない人物ばかりのおちゃらけコメディなのだが、最後の最後に父娘のとんでもないハートウォーム長回しシーンが待ち受けていてやられました。アーメン。

たあちゃん
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