劇場公開日 2025年9月19日

「壮大な内輪ウケ映画。あんまり面白くありません。」ザ・ザ・コルダのフェニキア計画 あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5 壮大な内輪ウケ映画。あんまり面白くありません。

2025年9月22日
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鑑賞方法:映画館

まず「ザ・ザ」(英語表記でzsa zsa)から。これはやっぱりザ・ザ・ガボール。1917年ハンガリー生まれのハリウッド女優です。出演作品はほぼ忘れられ9回結婚したことが知られている。相手はトルコの政治家、イタリアの貴族、イギリスの服飾デザイナーと手当たり次第。その中にホテル王ヒルトンがいたので彼女はパリス・ヒルトンの大叔母にあたる。ハリウッドの性的放埒さというのはもちろんそれ以前からあったけどヨーロッパの社交界までリーチを伸ばしたのは彼女を嚆矢とする。(最大の成功者はグレース・ケリーだけど)
そして苗字の「コルダ」。こちらは「バクダッドの盗賊」とかをプロデュースしたアレクサンダーとゾルタンのコルダ兄弟を連想させる。この人たちもハンガリー出身。
つまりザ・ザ・コルダっていうネーミングは映画関係者の匂いが強くするのですね。
そういう観点から見れば、「フェニキア計画」っていうのも架空の国家の国土開発計画っていうことになっているものの、映画製作の隠喩であるのかもしれない。結局、この作品は出資者を探すことと資本を巡っての陰謀や争いの話だから。
制作費は出資者たちに全部負担させて自分は収益の5%を受け取る契約なんて如何にも山師映画プロデューサーっぽいじゃあないですか。考えてみればウェス・アンダーソンとロマン・コッポラのコンビの前作「アステロイド・シティ」もTVプログラムの制作現場のドタバタを描いていた。だから、この作品も実は映画の企画制作の内幕の見立てだと言い切ってよいと思っている。
でもなんかそのあたりが見え透いちゃって、かつお話自体もごちゃごちゃしているだけで面白くない。デル・トロにしてもトム・ハンクスにしてもスカーレット・ヨハンソンにしてもベネディクト・カンバーバッチにしても、彼や彼女が出演するからっていうことでお金を引っ張ってくることに利用だけされて、そのお金を監督が撮影や美術で好き放題使っているっている感じがします。
例えばリーズルが母親の形見っていうことで受け取る宝石のパイプだけどあれはダンヒルの特注品で何万ドルもするそうです。目の保養にはなるけどなんか役者があんまり楽しそうじゃないんでね。やっぱり役者がまず反応するのは脚本なので。これはちょっとないかもと思いました。

あんちゃん
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