「俗が聖」ザ・ザ・コルダのフェニキア計画 あしたさんの映画レビュー(感想・評価)
俗が聖
画面に映っているものすべて、動いているものすべてがデザインされていて、可愛らしい、美しいものしかない。
テンポが恐ろしく良く、会話、視線、身体の動き、画面の切り替えの度にとてつもなく気持ち良い。
そんな、ウェス・アンダーソンならばそれなりにやってくれるだろうという期待にしっかり応えてくれながら、今回は冒頭からスリルを煽るリズムと共にドタバタ劇が始まり、そのテンションがずっと下がらずワクワクが止まらない。
父は俗物だが憎めず、娘は生意気で可愛く、ボーイフレンド(未満)はギャップ萌え。
最高。
それを踏まえて、今まで観てきたウェス・アンダーソン作品の中で一番グッときて好きな作品と思いました。
それは俗にまみれたおじさんを主人公にしているからと思います。
かつての学校や家庭になじめなくて良い子ではないが無垢な少年、悩むナイーブな青年としてのウェス・アンダーソンではない、圧倒的な自分事感をこの主人公に感じたからでした。
俗物で嘘にまみれ誰からも好かれず誰にも信用おけない中年主人公が、良きことをすると決心して醜く格闘する様は滑稽ですがとてもチャーミングで愛おしいものでした。
序盤、主人公はどこかトランプ米国大統領を思わせる拝金主義と冷酷さがあり、それがこう変わっていくといいな、というアメリカ人のファンタジー願望もある(そしてそれは現実にはないであろうという皮肉も)のかなと、現代性も感じました。
他の登場人物結局誰も聖ではないのも良かったな。
修道女見習いの娘も気を抜くと脚を可愛く組んだり、濃くメイクしたり、お酒飲んだり、可愛い装飾品に可愛いと言ったり、とても素敵でした。
必ずまた観たい!
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