「良くも悪くもウェス・アンダーソン色を満喫できる」ザ・ザ・コルダのフェニキア計画 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
良くも悪くもウェス・アンダーソン色を満喫できる
絵本を立体化したような画面の構図と色彩設計や、どこかとぼけた登場人物達が織り成すシュールなストーリー展開と、良くも悪くもウェス・アンダーソン色を満喫できる。
実業家の主人公が、後継者に指名した一人娘と、家庭教師から抜擢した秘書との3人で、投資の不足分を補填して貰うために各地の出資者を訪ねて回るというストーリーも、単純で分かりやすい。
序盤の自家用機の墜落時に、秘書の上半身が吹き飛ばされるというショッキングな場面があったため、機内のシーンでは、新しい秘書が同じ目に遭わないかとハラハラさせられたし、何度墜落しても、銃で撃たれても、流砂に飲み込まれても生き延びる主人公の不死身ぶりにも笑わされた。
その一方で、主人公のキャラクターが、善人なのか悪人なのかがよく分からす、特に、各国が目の敵にするほどの悪徳実業家には見えないところは違和感を覚えるし、主人公が何度も夢で見る天国での裁判のシーンも、何が言いたいのか理解することができなかった。
一人娘の本当の父親は誰なのかとか、主人公は自分の妻を殺したのかといった謎にしても、それらしい答は仄めかされるのだが、その真偽は最後まで明かにならないままで、モヤモヤとした気分が残った。
場面、場面に、それらしい面白さはあったものの、結局、「これは、何の話だったの?」という疑問を抱いていると、エピローグで、貧しいながらも仲良く過ごしている一家の様子が描かれて、「これだったのか!」と納得することができた。
ただ、その一方で、「疎遠だった父と娘が、旅の途中で数々のトラブルを乗り越える中で絆を取り戻す」という話を語りたかったのであれば、もっと別のストーリーでも良かったのではないかとも思ってしまった
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