「風立ちぬ 今は秋」ザ・ザ・コルダのフェニキア計画 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
風立ちぬ 今は秋
ウェス・アンダーソン。正直に言えば、この監督によって発表されたのここ数年の作品に理解がついていけていません。更に言えば、少なくとも日本で観られる(彼が監督を務めた)長編作品は全て鑑賞しているのですが、手放しに誉めたくなるほどの作品は私判定で3作(『ファンタスティック Mr.FOX』『グランド・ブダペスト・ホテル』『犬ヶ島』)だけ。それでも「ウェス・アンダーソンなら観なくちゃな、、」という勝手な強迫観念に抗えずに劇場鑑賞している気がします。確かにアート性に富んだ独特の世界観は、目を惹かれるものがありそれだけで十分に価値を感じます。また、こだわりのディテールに(ついていけているうちは)面白がったり、感心したりと素直に楽しめるのですが、ストーリー或いはテーマが掴めないと途中から惑いが勝り、後は諦めて「最後まで観続ける」ための気力を保つことに集中するのみ。そのため、彼の作品に遅刻、中座、居眠りは許されません。
本作も米国映画レビューサイトの評価は安定の高さ。シアターも混むことを想定していつもの席よりも前方をチョイスし、作品に置いて行かれないよう集中力を高めます。ところが、、大雑把に言って何が起こっているのかくらいは解るのですが、それが何なのか、どう理解したら面白いストーリーと思えるのか、「?、?、?・・・」。いや、確かに今作も間違いなく彼ならではな作品であり、その個性は作品を経るごとにどんどん極まっていて、また俳優たちによるシュールに振り切った演技も彼の作品史上でトップクラス。「アートブックそのもの」な作品性も相変わらず素晴らしいのですが、、結局のところ語られているストーリーに「だから何なのか?」の理解が及ばず、そこにダメ押しするように本筋ではないことについての溢れるばかりの情報量で脳が溶けそう。。「もう終わってくれ~」と泣きたくなる心境で102分が大変に長く感じました。
もう「ウェス・アンダーソンだから」というだけで劇場鑑賞を決めるのはやめとこう、と彼に対するチェックインを外すシャンテからの帰り道なのでした。風立ちぬ 今は秋。
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