ハルビンのレビュー・感想・評価
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日韓両国民にとっての新たな安重根像
この映画が韓国で公開直前だった去年の12月下旬に、友人とソウルを旅行していました。街中や電車の中、テレビなど至る所でこの映画の宣伝が、これでもかというぐらいに流れていました。おそらく韓国でも、「歴史上の英雄アンジュングンを世界的人気スターであるヒョンビンが演じることや、伊藤博文役を日本の有名俳優が演じる」といったことは画期的で、この映画に対する期待が大きかったのではないかと感じました。結果、韓国で公開後、この映画は前年のヒット作「ソウルの春」を凌ぐ興行成績となりましたが、ネット上の批評を読むと観客の評価はもう一つだったように感じました。原因は期待が大き過ぎたのと、歴史上の出来事に対する評価があまり明確に表現されていなかったことではないかと感じました。
私はこの映画が日本では公開されないと思っていました。これまでも、戦前戦中の日韓現代史に関する映画や、豊臣秀吉の朝鮮出兵に関する映画ですら、韓国で大ヒットしても日本のメジャーな映画館では殆ど公開されなかったから。しかし勇気ある映画配給会社とヒョンビン人気のお陰で、この映画が日本でも大々的に公開されることとなり、私も日本の映画館でこの映画を見られることに大きな嬉しさと期待を持っていました。
そして公開2日目の日曜日に観に行って来ました。
この映画は当時の韓国での抗日活動を描くというより、アンジュングンの人物像を深掘りした群像劇だと、監督や出演俳優の数多くのインタビュー記事を読んで理解していたので、その点ではとても良くできた映画だと感じました。ただ心配だったのは、日韓現代史の知識に乏しい日本人がこの映画を観た時、そもそもの時代背景や登場人物の思いや行動の理由などが理解できないんじゃないか?ということでした。この映画では、その辺の背景が伊藤博文の一人語りから類推できる程度で、あまり描かれておらず、現代史をよく知る韓国人から見ると「歴史的事実の描き方が不十分」と映り、現代史の知識が弱い日本人には、「よくわからない」と映ってしまうのではないでしょうか。
ヒョンビン主演につられて観に行く多くの日本人が、この映画を観て感じた「?」をキッカケとして、この映画が日韓現代史を学ぶ、少なくともアンジュングン氏がどのような人物で、なぜああした行動を取るに至ったのかを知る機会になれば良いなと感じています。
ウ・ミンホ「ハルビン」安重根が伊藤博文を暗殺するまで描く。映像も劇...
ハルビン
結末は知っている。その背景が知りたかった。
韓国の英雄の素顔
伊藤博文暗殺犯で韓国の英雄であることは歴史の授業でやったのでうっすらと。その程度の知識と日本が韓国を植民地化を進める時代背景は理解してたつもりだけど安重根が伊藤博文暗殺へと至るまでの過程はわかってなかった。
韓国側視点の映画だから100%理解できたとは言えないし、日本人だからこそ反発したくなる部分もあり、純粋に楽しめたかというとイマイチ。
特に大事な役回りの森少佐の日本語にどうしてもムズムズした。あれじゃ「安重根はどこか」botじゃないか。伊藤博文にリリー・フランキーを持ってくるなら森少佐も日本人にしたら良かったのに。残念。
伊藤博文の暗殺自体は成功したけど日本はそれ以降により一層大陸への侵攻を推し進めるわけだから本来の目的であった独立に近づいたと言えるのか?そこの解釈はどうするのかと思ってたけどその答えが最後の「36年後(=日本の敗戦)に独立を果たす」ということなんだろうか。この映画では安重根を朝鮮独立のヒーローとして描きたかったわけではないと思うが(処刑シーンの安重根の表情がそれを物語ってるし)、だとしたら中途半端な感じだったな、と。
忘れてはいけない歴史。
韓国映画の本領発揮を示した作品。安重根が伊藤博文をハルビンで暗殺するまでの過程を描いた作品だが、ハラハラドキドキ、スリリング感もあり見事だった。安重根を演じたヒョンビンはさすが。安重根は教科書やニュースで知った程度だが、いざ作品を見ると紆余曲折もあったが、日本からの独立のために孤軍奮闘したのかと改めて再認識した。日韓は関係改善が進み、未来志向モードだったが、今回の作品のような歴史を忘れてはいけないと実感した。観て良かった。見事!
【"カレア ウラ!"今作品は安重根による伊藤博文襲撃を描いた、日本人にとっては悲しい想いが込み上げる【フィクション映画】である。】
■1900年代。大日本帝国は朝鮮を支配下に置こうとしていたが、それに反発する大韓義軍が逸れに激しく抵抗する。
そんな中、ある闘いで大韓義軍は森少佐(パク・フン)率いる大日本帝国軍に勝利するが、森少佐を始めとした捕虜に対し、安重根(ヒョンビン)は国際法を説き、彼らを開放するが同志イ・チャンソブ(イ・ドンソク)は激しく反発する。一方、森少佐も恥辱を受けたと思い、執拗に安重根を追うのであった。
◆感想
・日本の近代史をキチンと学んだ者であれば、伊藤博文が朝鮮併合には慎重論を持っていた事は周知の事実だよね。伊藤博文は当時の大日本帝国の主要な人物の中では、対中関係も高い視点で捉えていたしね。
・伊藤博文を演じたリリー・フランキーさんの冷徹な演技だと、ムッチャ朝鮮の民を軽視していた様に見えるけど、彼が暗殺されてしまい、日本は更に大東亜構想を邁進して行き、1945年に悲惨な敗戦を来したのは、誰もが知っていることだよね。
◼️何が言いたいかというと、特に韓国の若い人がこの映画を観て、"日本憎し!"と言う想いを持たずに、他国を無理矢理支配しようとすると様々な悲劇しか生まない事を感じて欲しいと思ったんだよね。
確かに、大日本帝国は朝鮮の民に対し、近代様々な酷い事を行って来た。だから、日本人はネオナチの様に、"アウシュヴィッツなんてなかった。"なんて、愚かしき事を考えてはいけないし、(南京事件もね。)この映画を観て、平和の大切さ、仲間をスパイではないかと疑わなくても良い現在の日本の国家の有り難さを感じなきゃいけないと、思ったんだよね。
◼️作品の質は、韓国映画らしいサスペンス要素が良かったし、当時の反大日本帝国の人達の苦しみや、苦悩や、やるせない怒りが抑制したトーンで描かれている所も良かったな。ヒョンビンって当たり前だけど、良い役者だなとも、改めて思ったよ。
<"じゃあ、貴方は何でこの映画に3.5を付けたんだ!"って思う人もいると思うけれども、ヒョンビンが演じた安重根が死刑台に上がる時の表情が、私には"やり遂げた満足感"を持っているようには、見えなかったから何だよね。
私は、今作品は"他国を支配する愚かな行為は、悲劇しか生まない"と言うメッセージを発信する映画だと思ったのです。観るのは、キツかったけれども、こういう映画をプロパガンダ映画と思うのは、色んな意味で、危険だと思います。韓国人に友人がいるからと言う訳ではなく、”嫌韓”とか止めて、満塁本塁打さんも書かれているように、隣国何だから、韓国とは仲良くしたいよな、と私は強く思います。>
もう少しテンポが良ければ…
日本史の知識として「1909年10月に伊藤博文がハルビンで安重根(アン・ジュングン)に暗殺された」ということは知っていたが、その背景については「単純に祖国が侵略された怒りに任せてことに及んだのだろう」くらいのぼんやりとしたイメージを抱いていただけで、正直言って、特にこれまで意識したことすら無かった。
本作は事件の約2年前の戦闘をキッカケにアン・ジュングンがなぜ伊藤を狙おうと思ったのか、そして、実行に至るまでの過程に焦点を当てて描こうとしている。
もちろん韓国視点の英雄譚として描いているので、日本の観客としては手放しに爽快感が得られる訳ではないことには留意しておく必要がある。
それでも、一人の人間として、暗殺という行為に至るまでにさまざまな背景が重なり合ってどのように思い詰めて行くのかという点においては国籍などを問わずに普遍的な物語として観ることができるかもしれない。ただ、もう少しアン・ジュングン自身の心情の揺らぎなどを深掘りしてもよかったのではないかと思える。
映画としては、若干、冗長になっているのが残念。作品に重厚感を持たせたいという意図は理解できるが、もう少しテンポ良く編集をした方が緊張感が持続したまま一気に最後まで鑑賞できるのではないだろうか?
そして、どうしても違和感を拭えなかったのが、満州国の風景が砂漠として描かれていたこと。それじゃモンゴルになってしまうだろう…(エンドロールを眺めていたら、実際にモンゴルで撮影しているようだし)。
余りに単調な展開で眠くなる。
楽しみにしていたのに残念な内容だった。韓国の英雄なので、その観点からのストーリー展開と演出は許される範囲だと思うが、如何せん魅力がなかった。画に描いたようなヒーローにしたために人間味のないお人形さんのようだった。何よりストーリー展開にテンポがないので、つい睡魔が襲ってきた。伊藤博文暗殺に至るまでの歴史的経緯を時間をかけて見せるならこの程度の人間像でも許されるのかも知れないが、暗殺までの数日間に限定したドラマなら、もっと安重根の人間性や理想に拘る執着心などを表現して、内面に迫る脚本作りをして欲しかった。余りに薄っぺらい内容で、捕虜の扱いを「国際法」に則ることに拘った義理堅さと、「密偵」探し以外はほとんど印象に残らない。折角の素材が台無し、もったいない。
期待外れ。
この映画がどれだけ訴求力があるのかは分からないが、影響されて反日を叫ぶ者、別のベクトルから嫌韓を叫ぶ者、共に生成されていくのだろうな。やれやれ。
画面の暗さ(?)によるのかどうか分からないが、中盤まで登場人物が誰なのかやや心許ないまま時が流れていった。個々のキャラがさほど立っていないような、顔の輪郭というか表情というか、均質化しているような気がして、最後まで思い入れることができなかった。
おそらく創作も少なからず盛り込まれている訳だが、人物に惹かれることもなく。
リリー・フランキー以外、日本人を韓国の俳優が演じているのもどうにかならなかったのか?日本語のアクセントの不自然さが邪魔をして、物語に集中できなかったのは私だけだろうか?
韓国の描く戦時はこんな感じになるのか、という知見は得られた。日本が描く太平洋戦争も、他国の人からは違和感を感じるものなのだろうな。一方的な視点のみに偏ることのないよう心しないとな。
人間安重根
今年5月にソウルに旅行した時、南山公園を散策していたら、ソウルタワーの近くに立派な銅像と記念館がありました。よく見ると、アンジュングン、
安重根でした。
彼については、日本史の授業で、伊藤博文をハルビンで暗殺した人物と習った程度でしたが、ソウル滞在中、韓国では独立運動の英雄として広く知られていて、多くの人々から崇敬されていることを知りました。
この映画は英雄安重根を讃えた愛国映画なのかなと思いながら観ましたが、見事に裏切られました。
安重根は英雄としてだけでなく、国と平和を愛する一朝鮮人として描かれており、彼の苦悩や心の揺れが映像から伝わりました。
安重根が伊藤博文を射殺したところで、韓国併合の流れは止められず、むしろ逆効果かもしれない、しかし行動を起こさないと、リーダーとして多くの同志の死を無にすることになる、、、
そうした苦悩が映画で良く理解できました。
また、伊藤博文も韓国併合を推し進めた極悪人としてではなく、朝鮮の発展のために尽くした品格ある政治家として描かれていたのがやや意外でした。
日本軍人の日本語がおかしくなければもっとリアリティが出て良かったのに、と思いました。
日韓関係の長い歴史は非常に複雑で、安重根の事件ひとつをとっても解釈や評価が様々で、両国民が共に正しく理解するのは困難です。
ですが、この映画を観て、事件の背景やその後の韓国併合について色々考えてみるのは意味があるのではないかと思いました。
日韓交流や韓国の文化に関心のある人には一度は観てもらいたいと思います。
そして併合へ
伊藤博文暗殺事件とそれに至る安重根(アン・ジュングン)と大韓義軍の話。
第二次日韓協約に関する字幕説明から、クラスキノで大韓義軍が集まる様子で始まっていく。
韓史に詳しくないけれど、安応七歴史に記されている内容がもとになっている感じですかね?
作中の大きな出来事は実際にあったことが概ねというところなんだろうけれど、相変わらずの都合良い解釈が…植民地と併合の違いも、清や露との関係や韓の立ち位置もわかっていないしね。
満州が朝鮮だったことがあったなんて知らなかったですよw
お隣さんはこれをそのまま信じている人が多いのだろうからプロパガンダになっていることすら気づいていないのかも知れないけれど、とりあえず大韓帝国民は謙虚で高潔、大日本帝国民は傲慢で卑劣と言いたいんですねww
伊藤博文役こそリリー・フランキーだけれど、他の日本人役は全て日本人ではなく、通訳役と同程度のカタコトの日本語しか喋らないし、日本語にも字幕ついているのは良いけれど、その日本語自体がちょっとおかしかったりするし。
事実をアレンジしたエンタメとしてはそれなりには面白かったけれど…という感じ。
韓国で、安重根が英雄視されていることは、間違いない。 伊藤博文役だ...
撮影監督に星7つ・ヒョンビンに星5つ・ウ・ミンホ監督に星ふたつ
映画『ハルピン』は、確かに物語と映像と心象が完璧に調和するシーンがいくつかあったと思う。この映画の撮影監督ホン・ギョンピョの映像を通じて、1909年ごろの時代のさまざまな混沌としたものが入り混じった匂いまで感じられ、自分が(ポップコーンを食べながら)映画館に座っていることを忘れそうだった。こういう映像体験は、A・タルコフスキー監督の『ノスタルジア』とN・ラースロー監督の映画『サウルの息子』でしか今までに味わったことがなかった。
アルツハイマーになるか死ぬまでおそらく一生忘れないシーンが五つある。
ーアン・ジュングンが豆満江の凍てついた大河のうえで(実際には、マイナス40度のモンゴルの氷湖でロケしたそうだが)ひざまづくシーン。無数の抽象的な氷上のひびのうえにいる人間の危うさと不安を心底感じる。
ー大韓義軍が慶興にいる日本兵の集団に奇襲をかけ、両軍が泥まみれになって戦闘するシーン。不思議なシーンだが面白い。みな銃を(日本兵はおそらく銃剣も)持っているにもかかわらず、それらを使わず、短剣とこぶしを使ってみなが泥まみれになり、混沌となる。泥まみれなので、大韓義軍か日本軍かだんだんわからなくなってゆくのだが、よく見ると兵士の顔が恐怖に歪んでいて怖い。
―同志たちはみな黒い服を着ている。顔の一つ一つに黒い影がある。窓から差し込む弱い光がとても明るく感じる。薄光さす灰色の街路を歩けば、人なのか影が歩いているのかわかりづらくなる。
―かつて同志であった馬賊の頭領に4人が馬に乗って会いに行くシーン。さすがに満州には映画に出てくるような砂漠は存在しないだろうと思うが、砂漠の登場で大陸観が伝わる。ウラジオストックのロシア建築と対比的だが、映像の対比で、1909年当時の歴史的地政学を感じる。
ー欧米にとっても鉄道は植民地支配に欠かせぬツールであったが、日本という島国がランドパワーにのし上がるために、特に鉄道は重要な象徴的軍事的役割を果たした。しかし、この映画では、その鉄道を演出道具のように扱っている。ウラジオストックからハルビン行きの列車の中で、アン・ジュングンが仲間内の裏切り者である密偵を確認しようとするごとに列車が蛇のように左右にうねりまくって、裏切り者の顔がなかなか見えない。このシーンもすごい。
キャスティングも一人一人の役作りも良かった。日清・日露戦争に勝利してしまったことで、日本の歴史的誇大妄想が始まるわけだが、リリー・フランキー演じる伊藤博文にそういう胡散臭さがよくあらわれていた。ヒョンビンは両班の秀才のお坊ちゃまで、敬虔なカソリック教徒の善良さと純粋さを信念を抱く強いまなざしで、アン・ジュングンらしさをよく演じていたと思う。
ウ・ミンホ監督はこの映画において、アン・ジュングンを祖国独立のために命を懸けた”英雄”としてではなく、ハルビンまでの旅程なかでの苦悩、恐怖、孤独を描きたかったとインタビューで述べている。それによって、新たなアン・ジュングン像を描こうとしたのかもしれないが、真実のアン・ジュングンは、死刑直前の彼の最後の言葉からもあきらかなように
祖国独立と同時に東洋平和を願っていていた。(日本人弁護士も彼のために最善を尽くしたと思う。)ならば、彼が伊藤博文を暗殺した際に、ロシア語”カレヤ・ウラ”ではなく、エスペラント語で”カレヤ、フラ!”(韓国、万歳!)と叫んだという説のほうが信憑性がある。ロシアも地政学的理由から、朝鮮半島を完全支配下に置きたかったわけで、それを知る義士のアン・ジュングンがロシア語で叫ぶとは思えない。
日本軍がシナ山の報復として大韓義軍を惨殺したことは史実であっても、首のない死体がゴロゴロ転がるのは不自然だ。刀の刃がボロボロになってしまうようなことを日本兵が習慣として行っていたとは思えない。反日的表現だと決めつけたいわけではないが、リアルさがなくてそう感じた。
また、他国を支配して、その人々の母国語も個人の名前も奪い去ろうとした日本の醜い過去があったわけだが、日本人を演じた韓国の俳優さんたちの韓国語のアクセントについての苦情を聞くたびに、アクセントを正すか正さないかは、個人の意思にゆだねるということでよいのではないかと、考えるようになった。パラノイアの日本陸軍軍人である森少佐を演じたパクフンという韓国の俳優は、最後のほうではアクセントが薄れていた。
紋切型で退屈
「反日」以前に、サスペンスやアクションとして盛り上がらない
反日や抗日のプロパガンダ色は致し方ないにしても、単純に、サスペンスやアクションとしての盛り上がりに欠けていて、あまり楽しめなかった。
民族の英雄である安重根を、日本軍の捕虜を解放したり、敵の密偵となった裏切り者を許したりした「人格者」として祭り上げたい気持ちは分からないでもないが、その分、人間くささや面白みのない人物造形になっていて、キャラクターとしての魅力が感じられなかったのは致命的と言ってもよいだろう。
ヴィランを務める森少佐にしても、冷酷で威圧的なステレオタイプの日本の軍人でしかなく、威張り散らしているだけで、とても「強敵」とは思えないし、リリー・フランキーが演じる伊藤博文も、最後に倒すべきラスボスとしての威厳や重厚さに欠けていると言わざるを得ない。
ストーリーの面でも、大連に向かう列車内で遭遇したり、ウラジオストクのアジトを急襲したりしても、ことごとく安重根を取り逃がした上に、彼が伊藤博文の暗殺を企てていることを知りながら、ろくな警戒や警備もせずに、みすみすそれを成功させてしまう日本側の対応が、余りにもお粗末で呆れてしまう。
朝鮮側にしても、密偵を逆利用して、ハルビンの手前の駅で陽動作戦を仕掛けるのは良いのだが、囮になるのは、どう考えても、日本軍がマークしている安重根が適任だったのではないか(そうすると、歴史が変わってしまうのだが•••)と思えてならない。
何よりも、伊藤博文を暗殺する理由が、「これまで命を落としていった同士のため」としか説明されておらず、主人公たちを困難な任務に駆り立てる動機に、これといった必然性や説得力が感じられなかったのは、ドラマとしての欠陥であると考えざるを得ない。
さらに、氷結した豆満江や、満州の雄大な砂漠の風景は、大作としての風格を醸し出しているものの、その一方で、「このシーン、本当に必要だったの?」という疑問も残った。
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