劇場公開日 2025年7月4日

「比較的どちらの立場からも描かれており高評価。」ハルビン yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 比較的どちらの立場からも描かれており高評価。

2025年7月22日
PCから投稿

今年168本目(合計1,709本目/今月(2025年7月度)17本目)。

 この手の作品はどうしても、どちらかの「言い分」に極端に偏った作品になることが多いですが、ほぼ半々(しいていえば、日韓で45:55くらいか)の割合で、一方的に誰かを悪として描くことがなかった点は良かったです。

 実際にあった出来事をテーマにしており、今では小学校の教科書でも学習しますから、一般常識でしょうね。事実、高校世界史でも高校日本史でも扱うはずです(高校日本史はどうなんだろう?)

 この映画はこの意味において「実質的に」ドキュメンタリー映画であり、映画館にドキュメンタリー映画の要素を持ち込むなら楽しめないでしょうが、個人的には良かったところです。もちろん、歴史考証として限界がある部分については「一つの説」等としているのでしょうが、それも常識的にありうる展開であって、無茶苦茶な展開になっていません。

 どうしても、過去の事件を扱った映画ということで結末が見えてしまうのが難ですが、極端にどちらかの言い分に偏っているわけではないし、迷ったらおススメといったところです(というより、鬼滅の刃はいつまで25本とか無茶苦茶なんだろう…)。

 作品に関しては、以下気になった点がありますが、採点対象にはしていません。

 (減点なし/参考/この人物のたどった道のりについて)

 日本の刑事事件として処理され、殺人罪でのみの起訴です。このとき、日本人弁護人がつけられ、「1人の事案としては求刑が重い」「そもそも韓国刑法で扱うべき」という展開がその後されています。日本はこの点、極端な事件がおきたこのケースにおいても被告人の権利を適正に守った点において評価できます。

 一方、判決はご存じの方も多いと思いますが、「この人たち」に対する事件は戦前~戦後までいくつか発生していますが(最も日本で身近であろう「奈良の事件」は、一審判決すらまだです)、死刑判決は数が意外に少なく(この例のほかは、いわゆる軍事クーデターでの事件のもの。軍紀をただすという意味も強かったか)、被害者1の事案で極刑は重かったか、というのは現在(2024~2025)では言い得るでしょうが、当時はまだそのような考え方がなかったので、ここは仕方がなかったのかな、という気がします。

yukispica
PR U-NEXTで本編を観る