「背景の薄い勧善懲悪」ハルビン HKさんの映画レビュー(感想・評価)
背景の薄い勧善懲悪
映像はすばらしい。
砂漠や凍った河の広大な景色や構図はもちろん
衣装、建物、内装の質感の作りこみがすばらしく、
茶、白、黒のような地味な配色のシーン多いが画面に見入ってしまう。
裏切り者を探す汽車のシーンは連結車両を活かした構図が面白い。
一方で、歴史認識や日本人役のカタコト日本語は脇に置くとして、
肝心な物語の構成やキャラクター造形が薄く、理解が難しい。
まず統治下で圧政に一般市民が苦しんでいる様を描いたシーンが無いので、
大韓義軍の彼らの動機が伝わらない。
(民族独立はわかるが、伊藤博文の過去の王による愚政の指摘に対する答えがない)
日本人の現地軍人は、わかりやすい単細胞な悪人すぎるし、
拷問シーンも苦痛、過酷さが伝わらず中途半端。
肝心なアン・ジュングンも高潔な英雄ならば、
そもそもなぜ政治的な交渉ではなく、暗殺という方法を選んだのか、
冒頭シーンの流れからすると、仲間からの批判を逸らすための
ターゲット設定のようにもみえてしまう。
映像の美しさでなんとか見続けられた映画でした。
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