「儚さと美しさ」紅楼夢(こうろうむ) 運命に引き裂かれた愛 徹2001さんの映画レビュー(感想・評価)
儚さと美しさ
学生時代に、岩波文庫で読んだ作品(たぶん、あと四冊程度読み残している)
我ながら、よく読んだものだと今でも思っている。思わせぶりな内容に、引きずられながら読み進んだ記憶がある。
もう長い年月が経っているのに、画面に出てくる賈宝玉・薛宝釵・王熙鳳・襲人、なんとなく記憶の隅から蘇ってくるのが不思議だった。(なんで襲人なのかは不明)
そして、春になるといつも思い出す林黛玉の「葬花吟」(葬花詞)が描かれていました。
一面の花びらを寂しく林黛玉が片付けていく所は、今以て脳裏にいつも浮かんできます。
また、なんと言っても冒頭の、食事の場面は圧巻でした。私の敬愛する学者が紅楼夢の食事の場面を論文に書いていらっしゃいましたが、中国でも紅楼夢の中の食事の場面は研究対象となっているようです。紅楼夢の愛読者は「紅迷(ホンミィ)」と呼ばれ、熱狂的なことが知られています。食事の場面だけでなく、至るところ論文なども多数書かれているのでしょう。
こういった映画するには触れるべき所も多かったと思います。それを一本の映画にするには、苦労が多かったのではないでしょうか。少し舌足らずなところが有るような印象も残りますが、儚さと美しさでまとめられていた気がします。
原作の挿画のような、役者さんを起用し、美しく仕上がっていました。
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