旅と日々のレビュー・感想・評価
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フィールグッド映画
三宅唱がこんなフィールグッド映画を撮るのは意外。良い雰囲気を映画にしようという試みはここ15年ぐらい静かに勃興してると思う。皮肉な言い方に丁寧な暮らしジャンルもあるので、なんだかなーと思ってしまう。そりゃ三宅唱ならこんぐらい撮れちゃうでしょという気もする。そりゃシム・ウンギョンがトボトボ歩いてるの可愛いけどさ。何気なさを描く良さみたいなのは流石に飽和して、私は飽きてしまった。この手の映画の中では「石がある」があまりにエッジーな魅力があるので、あれと比べてしまうとこんなもんかと思ってしまう。日本の映画監督はホン・サンスになるべく影響を受けないでほしい。小さな居心地の良さを描くのももういいよと思う。
真っ白な雪を踏みしめて、心も白く。
自分の脚本に自信を失くしてしまった女性の「言葉の檻に閉じ込められている」という言葉。胸に刺さった。ぼくは映画の感想を書いたり、感情を文字に起こしたりするのが好きだ。こういったことを生業としているわけではないけれど、書きたいことはこういうことじゃなくて…もっと深い部分に感情があって…ああ、言葉にできない…もっと上手く表現できたらいいのに…と苦しむことがある。
言葉の檻から出してくれたのは山奥に住むおじいさんだった。おじいさんは一人ぼっちの檻にいるみたいだった。何があったのか真相は分からないけれど、どうにもならないことで大切な存在を失ってしまって、その想い出の欠片と、日々を飽き飽きしながら過ごしているように見えた。もう何も残ってないおじいさんはある意味自由。そんな日々に触れ、脚本家の言葉の檻の鍵は開いたようだ。真っ白に降り積もった雪のなかを一歩一歩しっかりと踏みしめながら、駅へ向かう描写から前向きな気持ちをもらえた。心も真っ白く綺麗になった。
いまをときめく河合優実をこう使うか、と思った作品
強い日差しが照りつける夏の海。海岸でぼんやりと過ごしていた夏男はどこか陰のある女・渚に出会う。何を語るでもなく、なんとなく島を散策する二人。翌日、浜辺で顔を合わせた二人は、台風が近づくなか雨に打たれながら、波打つ海で泳ぐのだった......。
海で出会った二人の姿が、大学の講義室のスクリーンに映し出されている。つげ義春の漫画「海辺の叙景」を原作に脚本家の李が脚本を書いた映画を、授業の一環で上映していたのだった。上映後、李は学生から映画の感想を問われ、「私には才能がないな、と思いました」と答える。講義を終えた廊下で、李は魚沼教授と立ち話をする。浮かない顔の李に「気晴らしに旅行にでも行くといいですよ」と飄々とした口調で声をかける教授。ほどなく、魚沼教授が急逝したという知らせが届く。李は弔問のため、教授の弟の家を訪れる。あっけない最期に戸惑う李に、弟は教授の形見のフィルムカメラを半ば押しつけるように手渡す。
長いトンネルを抜けると、そこには一面の銀世界が広がっていた。無計画のまま降り立った町で、宿も見つけられずにさまよううち、李はひとつの古びた宿にたどり着く。屋根には雪が積もり、今にも崩れそうなその宿を営むのは、ものぐさな主人・べん造。暖房もなく、まともな食事も出ず、布団すら自分で敷かなければならない。ある夜、べん造は「錦鯉のいる池を見に行くか」と李を夜の雪の原へと連れ出すのだった......(公式サイトより)。
いつもの海が、景色が、夕日が、みつ豆が、河合優実によって官能的で抒情的で、儚くて、死を思わせるほどに危うく、美しくなる。他方で、東京から電車で行き着いた雪深い里山は、堤真一や宿とは言えない宿の存在によって、衛生的に不安な台所で調理されたご飯を食べ、普通に喋っているだけで吐息が白くなる寒い部屋で過ごし、湿っぽく黴臭そうな布団に包まり、猛烈ないびきの宿主と唐突に錦鯉の池に雪を踏みしめて出かける日々が、よく分からないうちに顕現する。
どちらも旅がもたらす異化であるが、李は、脚本を書いた前者作品を観て「自分には才能がない」と項垂れる一方で、後者の日々を体験した後には創作意欲を取り戻す。一見すると対比的なアプローチだが、実は「日々の脈絡のなさ」という意味では両者ともに同じという意味において、とても愛おしく、またユーモラスな作品である。
主演のシム・ウンギョンがとても良い。アーティスティックな日本映画の脚本を手掛けるくらい日本語は流暢であるが、やはり韓国人であり、彼女がいることで、前者も後者も、異化が何段階も深くなる。要所に韓国語のナレーションが入る演出も良いし、脈拍のない里山と癖あり宿主の日々を、いったん受け入れてみるというキャラクター設定も魅力的であった。あと、いまをときめく河合優実をこう使うか、と思った作品でもある。
オムニバスでない並べ方。
漫画から実写化への課題The Challenges of Adapting Manga into Live Action
予告編は間違いなく成功している。
予告編を見て、観ようと思ったわけで。
予備知識なしで、
観賞後、パンフレットを見て
つげ義春原作の作品と知る。
妙に納得。
まだ原作漫画には当たっていないけど
つげ義春の独特な間は、
実写化に当たっては工夫しないとキツイよなあ
というのが個人的な印象。
それをなんとかしようと、
工夫するんだろうが
私は今回、鑑賞中に、
独特な長い間に
何度か睡魔と戦わなければならなかった。
あくまで印象だけれど、
製作時に
後半に向かって、
リアルな時間が無くなって、
独特な間をどうにかする
工夫を考える余裕がなくなったのでは?
と感じてしまった。
出ている俳優陣は
好きな人ばかりなので、
ちょっと残念に感じました。
つげ義春の原作の
素材選びかなあ。
同じ、つげ義春の原作の
「雨の中の慾情」は
面白かったんですけどね。
三宅監督の
「ケイコ 目を澄ませて」
は良かったので、
少し肩透かしでした。
The trailer was undeniably successful.
It was the trailer that made me want to see the film in the first place.
I went in with no prior knowledge, and after watching the movie,
I checked the pamphlet and found out it was based on a work by Yoshiharu Tsuge.
It made perfect sense.
I haven’t read the original manga yet, but Tsuge’s uniquely lingering pacing
must be quite difficult to handle in a live-action adaptation—
that was my personal impression.
The filmmakers must have tried various ways to capture that pacing,
but during my viewing,
I found myself fighting sleep several times
because of those unusually long, drawn-out pauses.
This is only my impression, but
as the film moved into its second half,
it felt as though they ran out of actual production time
and no longer had the bandwidth to figure out
how to handle Tsuge’s distinctive pauses.
The cast consists entirely of actors I like,
so I felt a bit disappointed.
Perhaps it comes down to the choice of source material
among Tsuge’s works.
By contrast, another Tsuge adaptation,
“Lust in the Rain,”
was quite interesting.
And since Miyake’s film
“Small, Slow but Steady”
was excellent,
this one left me feeling a bit let down.
旅って
前半「海辺の叙景」の部分は大きな展開がない話だから、つげ義春の画力...
前半「海辺の叙景」の部分は大きな展開がない話だから、つげ義春の画力がないと間が持たないのかな
隣の方はスースー心地よさそうに寝入ってました 笑
後半「ほんやら洞のべんさん」は堤真一がいい味出してて、つげ義春の世界観が感じられたし、楽しめた
こういう旅をしてみたい
今後何度も見返す作品になるだろう
つまらなかった、退屈だった
イモトに似てるシムさんが好きで観た。 まさかのこそ泥、堤真一は驚い...
映像の旅
期待外れは言葉が違うのですが期待とは別物の映画でした。夏のシーンが...
期待外れは言葉が違うのですが期待とは別物の映画でした。夏のシーンが
「海辺の叙景」冬のシーンが「ほんやら洞のべんさん」、いずれも
つげ義春の漫画が原作になっているらしいのですが、つげ義春をガロで見たのって
今73歳の私でも中学生の頃なので飛ばし読み状態で読んだと思います。
そもそも、ガロは、カムイ伝だけが、お目当てでしたしね。
ここからは、ビミョーにネタバレっぽい話を含むので絶対ヤダって方は、ここで
読むのをストップしたほうが良いかもしれません。
そもそも、この映画を観ようと思ったのは大好きなシム・ウンギョンと河合優美が
出演してるっていうのがイチバン大きい動機で堤真一の役は役所広司がやってると
カン違いしたまま映画館に入ったのです。べん造を役所広司が演じてたら完全に
映画が壊れてましたね。堤真一の持つ軽さがピッタリでした。河合優美のナイス
バディは、さすがでした。これを拝見するためだけに、この映画を観るって
いうのもアリだと思います。
佐野史郎をこういうカタチで使うとはね。まあ、おかげで、つげ義春は「暗い」
「難解」と敬遠しなくても、いい映画になったとは思いますけど。
海のシーンにしても雪のシーンにしてもカメラがいいですね。風を切り取るシーン
なんて、スゴッて思いました。ロケ地にも行ってみたいですね。特に神津島の
大黒根トンネルを抜けた先の崩落地は見てみたいと思います。実際に見ないと
いくらスクリーンでも規模が全然わかりません。赤崎遊歩道もいいですね。
飛び込みはしないけど。
河合優美の相手役、髙田万作クンも良かったと思います。まだ、18歳だという
ハンデをつけてあげての話ですが。(でも、12月1日には19歳になります)
今後の期待は、高まります。出演者ではないのですが、鯉は気の毒でした。
つげ義春の世界観を美しく描き切った作品
つげ義春の「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」 の2作品が原作ということに惹かれて鑑賞。
主演のシム・ウギョン、助演の堤真一、河合優実、高田万作、佐野史郎らが好演。特に堤真一の方言による台詞回しが印象的。
河合優実が演じる渚と高田万作が演じる夏男の海辺でのシーン、美しい映像の中で二人が淡々としながらも心を通じ合わせるところに、まず引き込まれる。
そしてシム・ウギョン演じる主人公の脚本家、李が訪ねた雪に閉ざされた山里、堤真一演じるおんぼろ宿の主人べん造とのやりとりが、不思議な心地よさを感じさせてくれる。
目的のない旅、そこで訪ねた美しい海、そして雪に閉ざされた山里、どちらもひたすら美しく描かれ、そこで出会い、ごく少ない触れ合いの中で気持ちを通じ合わせ、安らかな心を取り戻していく。
これといったストーリーはないが、その映像は、つげ義春の世界観を監督独自の視点で、極めて美しく描き切っている。
それぞれのシーンにおける役者たちの台詞の間がとても気持ちよく、時にほっこりとしたシーンもあったり、観るものを癒し続けてくれる映画。
ただただスローな流れで進み、夢の中にいるかのような幻想を抱かせてくれる時間。歳を重ねるなどして、ゆっくり進む時間の良さを感じられるようになってこそ、浸ることができる映画。
起承転結で予定調和な商業映画とは対局にある、心に染みる映画芸術の世界。
第78回ロカルノ国際映画祭にて、インターナショナル・コンペティション部門の最高賞である金豹賞、ヤング審査員特別賞を受賞したことが頷ける。
河合優実の無駄遣い
夏の海辺にいた夏男は、渚と出会い散策した。翌日、再び浜辺で会った夏男と渚は、台風が接近してるのに海で泳ぎ・・・。大学で、つげ義春の漫画を原作に李が脚本を書いた映画を上映し、上映した。冬になり、李は雪に覆われた山奥を訪れ、旅館が満室で泊まれず、おんぼろ宿にたどり着いた。宿の主人・べん造は妻と離婚後、やる気がなく、暖房もまともでなく、夜の食事も提供しなかった。ある夜、べん造は李を夜の雪の原へと連れ出し、鯉を盗もうとした。さてどうなる、という話。
これ、どう見て、どうレビューすれば良いのかわからなかった。
河合優実、シム・ウンギョン、堤真一、佐野史郎など、名優が出演してるのだ、ストーリーが見えない。
昔の囲炉裏があるような日本の家が珍しい人には景色が良かったとか思うかもしれないが、知ってる人にとっては、それで?くらいの感想だと思う。
面白くなくて退屈だった。
規格外
旅の力
日本画の静かな世界
全168件中、21~40件目を表示
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