「美しい映像シーンに対して、ストーリー・設定が追い付いていないような」旅と日々 Bigcatさんの映画レビュー(感想・評価)
美しい映像シーンに対して、ストーリー・設定が追い付いていないような
鑑賞中は、美しいシーンがあったり、クスッと笑えるシーンもあったりして、部分部分では楽しめたところもありました。とはいえ鑑賞終えて全体像が見えると、ストーリーの面では好みの作品になりませんでした。
前半の海(夏)のシーンも後半の雪国(冬)のシーン、どちらもこの先どうなるのだろうと気になるところでブツリと話が切られてしまっているためです。この後どういう展開になるのだろうという手がかりもほぼ示されないまままで、個人的にはかなり不満のたまるストーリーでした。
後半部分の雪国のシーンの方で主役として登場する脚本家(女性)が脚本を書いた映画の中の話が、前半部分の海のシーンだったと判明するわけですが。そういう展開をするのであれば、せめてこの映画の最後には、この脚本家さんのその後の脚本作品が、今回の旅でどう変わったのか(あるいは変わらなかった)は描いてほしかったです。★評価を厳しくしてしまった大きな理由となっています。そこを描かず何を描くのか、というところだと思ったのですが、監督の狙いはそこにはなかったということなのでしょう。描かれていればさらに作品の深みが増したようには思うのですが。
あとは、宿屋の主人のセリフには東北のとある地域の方言が入っていたことは少し気になりました。東北地方やその近郊の方々まではある程度理解できる範囲とは思いますが、そこから距離のある地域の方々(特に、西日本の方々など)には、字幕なしだと理解が難しいのではないか、というところが心配になったためです。
もうひとつ、あの宿屋、主人(男性)と脚本家(女性)が同じ部屋で夜を明かしてしまう設定は、いくらなんでも無理がありすぎます。他に1部屋もなかったのでしょうか、そりゃあ客もこなくなるわ、な宿屋に見えました。
また脚本家さんについては宿屋を去るまで身綺麗なままだったと思いますが、浴室もシャワーも整っていそうにないあの宿屋で、どうやったのでしょう。宿屋の主人に意図せずに鯉泥棒の場面に付き合わされ、川の中にも足を踏み入れざるを得ず、服も濡れてしまったのではないかと思うのですが。どこか別の銭湯でも探して行っていたのでしょうか。とても謎に思いました。
この映画作品では、宿屋が最重要の要素のひとつだと思いますので、もう少しは宿屋の設定を配慮した方が良かったのではないでしょうか。宿屋の非現実な部分の違和感ばかりが気になって、私には本映画作品の世界に入り込むのに妨げになってしまいました。
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