「気持ちの良いしてやられた感を感じました」旅と日々 さとうきびさんの映画レビュー(感想・評価)
気持ちの良いしてやられた感を感じました
夏の海辺と雪の山国。
それぞれの舞台で交わされる男女の会話。
物語と現実が溶けあった不思議な光景がスクリーンに映し出されます。
登場人物たちの心が読めない言葉は不穏な空気を漂わせながらも、その表情と仕草には何故か幸福感も感じられる。
「ユーモアがある話がいいな」
「でも笑いだけではな」
「人間の悲しさが書かれていないとな」
作中人物の一人が語る言葉通りのシーンが、美しい風景と単調な音楽をバックに淡々と描きだされます。
単調といえば単調なのに不思議と惹きつけられる。
画面に釘付けの90分間が突然終わり、エンドロールを見ると原作者はつげ義春。
あゝそういうことだったのかと、気持ちの良いしてやられた感を感じました。
あの独特の世界を見事に映像化した監督の手腕に感服しました。
コメントする
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
