劇場公開日 2025年11月7日

「気持ちの良いしてやられた感を感じました」旅と日々 さとうきびさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 気持ちの良いしてやられた感を感じました

2025年11月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

斬新

癒される

夏の海辺と雪の山国。
それぞれの舞台で交わされる男女の会話。
物語と現実が溶けあった不思議な光景がスクリーンに映し出されます。
登場人物たちの心が読めない言葉は不穏な空気を漂わせながらも、その表情と仕草には何故か幸福感も感じられる。

「ユーモアがある話がいいな」
「でも笑いだけではな」
「人間の悲しさが書かれていないとな」

作中人物の一人が語る言葉通りのシーンが、美しい風景と単調な音楽をバックに淡々と描きだされます。
単調といえば単調なのに不思議と惹きつけられる。
画面に釘付けの90分間が突然終わり、エンドロールを見ると原作者はつげ義春。

あゝそういうことだったのかと、気持ちの良いしてやられた感を感じました。
あの独特の世界を見事に映像化した監督の手腕に感服しました。

さとうきび
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